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掬水へんろ館

まえがき

後四ヶ月で金婚式という1997年8月10日、長年連れ添った妻を肝臓ガンの再発で亡くした。 1995年12月に癌が見つかり入院。翌年1996年2月肝臓の二分の一と胆管、胆嚢など切除する10時間に及ぶ手術。 3月退院し手術は成功したと云われ一安心したが1年経った97年4月に精密検査の結果再発。手術も出来ず有効な治療方法も無いといわれ、入院も考えたが痛い目を会わせるだけだと思い家で介護することにした。病院からは出張看護に来てもらい、60km位離れた所に住む子供達二人も交代で来て看病に当たってくれたが8月10日に遂に帰らぬ人となった。臨終のとき長男夫婦と一緒に居たが、当日は様子も良かったのでとなりの部屋で一休みしていたが、長男が5分ほど経って覗きに行ったら心臓がが止まっており、病院へ連絡し、長男が心臓マッサージして医師を待ったが遂に駄目だった。

たった5分間傍を離れたために息を引き取る時に傍に居てやれなかった事が心に何時までも引っかかり仏前で謝り続けていたが、菩提を弔うのにはお遍路に出るのが一番と翌98年3月1日〜4月15日まで歩き遍路に出た。結願の日の早朝妻が夢の中に現れほんの一瞬で有ったが私の意を汲んで現れてくれたのかと安堵した。

しかし、どうしても気持ちが吹っ切れずもやもやしたものが心の底に残っていたので昨年再度お遍路に出る覚悟をしたが、時間が取れずバイクで巡拝することにした。今回の遍路で多少気持ちも落ち着いたが又来年を期して巡拝の旅を続けたいと思っている。

この拙い記録が多少なりとも皆様のお役に立てればこの上ない喜びで有る。

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