四国一周1400キロの長丁場を、男性の足で40日以上もかけて巡る「歩き遍路」ですが、もう「定年後しか無理」とあきらめる必要はありません。30代〜50代の多忙な世代でも、もちろん女性でも、遍路の醍醐味を存分に味わえる「新しい歩き遍路」を、ガイドブック形式で提案します。
実際の遍路道は、90%以上がアスファルトで舗装されています。「遍路ころがし」は難所として有名ですが、実は、大地を踏みしめ、一木一草に包まれながら歩く素晴らしい道なのです。
趣のある旧遍路道は積極的に歩き、都市部や長距離移動には、公共交通機関やタクシーも利用します。出来た時間的な余裕で、地元の味や遍路ならではの楽しみを味わっていただきます。自然の息吹や地元の人の情けに触れ、弘法大師や般若心経の教えと向き合う旅を通じて、自分の中に隠されている未知なる可能性を発見することでしょう。
完全徒歩の遍路なら、40キロ先を目標に毎日歩くわけですが、本書ではその半分の距離、一日平均20キロのモデルコースを設定しました。「20キロも歩けない」と思っているあなた、意外とあっけなく歩けます! 1県7日間で約120キロを歩くことは、決して日常的な体験ではありませんし、心と体の両方のダイエットにも効果的ですから、夏休みなどの休暇を工夫して挑戦してみては如何でしょうか。
238ページに300カットを超えるカラー写真を使って、札所の見所は勿論のこと、遍路道沿いで楽しめる「遍路グルメ」や美しい風景写真を満載しました。また、疑似体験もできるよう図版を工夫し、読みやすくするために少し大きな文字で構成してあります。
本書が、歩き遍路に挑戦する方々の参考になれば幸いです。
写真家 小野庄一