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掬水へんろ館のらくら遍路日記〜阿波・発心道場篇
北村 香織
第2日
3月15日(月)///大雨…の予報

5:30起床。実は6:30のつもりが、目覚し時計が1時間狂っていた。
6:30朝食。あまり食欲はない。昨夜の種智院コンビにアンケート。
7:05 UP(出発)。僧坊の人たちが挨拶してくれ、ついでに予約のことを再度注意してくれる。雨はかろうじて上がっているものの、いつきてもおかしくない雲行き。

7:20 7番 十楽寺 着。 神戸の元船員のおじいちゃんがジャワティを買ってくれた。アンケートに協力してくれるが、雨を気にしてお遍路さん項目についてのみ。震災で亡くなった奥様を弔うためにひとりで歩き遍路で八十八ヵ所回られるとのこと。歩いている最中、頭に浮かぶのは奥様のことばかりだそうで、その気持ちはよーーーくわかる。でもコニゅの場合は徐々に衰えていく姿を私は目にしていたし、死に目には逢えなかったけれどこれ以上はないというくらいの安らかな眠るような顔を拝むことができたけど、このおじいちゃんは奥様を誰も想像できない一瞬のうちに失くされて、それは私より何倍もずっと無念で割り切ることなんてできないに違いない。何も言えなくて言葉に詰まってしまった。

8:35 8番 熊谷寺 着。 雨が本降りに。山門と池がしっとりと印象的。
宿の予約を入れたり、ツアーのおばちゃん達に囲まれたり。

9:20 9番 法輪寺 着。 ついにカッパを着る。門脇の茶店で「お接待」を受ける。店のおばちゃんが奈良出身ということもあってか、それともみんなにそうなのか、焼き芋と手作りの柔らかい紫蘇もち、サルノコシカケと柚子入りのおいしいお茶をごちそうになった。ぜんぶ絶品。バスの運転手さんや地元のおじいちゃん達も集まってきて、おばちゃんがここのアイドルということがよくわかった。彼女曰く流れ流れてきた人生、今この四国でお遍路さんたちにお接待という旅人のオアシス的な存在としてあるその背後の何かを一瞬感じたような、感じなかったような…。

雨中のんびり歩いていると門前の町並みにさしかかり、その風情に惹かれる。
が、ここからがきつい!山門までの坂道にプラス333段の石段。第1段階を登り終え、頭上にまだまだ続く石段の列を見て、思わず叫んでしまったほど。脇の地蔵堂兼休憩コーナーにザックを置いて先を登る。横の車道ではクラウン級の車が上がれず、何度もずり落ちてタイヤのゴムが焦げてしまった…。

11:00 10番 切幡寺 着。
ここから11番までの距離がこれまででは一番長い9.8km。風雨が強まり、雷もお見舞いしてくれる。折畳み傘の骨組みが歪んでしまった。これが四国では普通の風雨だそう。台風のときは出歩かんとこ、と本気で思う。靴に浸水。
大河・吉野川の川中島(中の島)を渡り切ったところで札幌から来たというおじさんと道連れに。古代民族や遺伝子の話をしてくれたおかげで、歩き切ってしまった。実は電車を使うというプランもあったのだけど。。。

14:05 11番 藤井寺 着。 札幌のおじさんにアンケート。ここのお寺の本堂の天井裏には竜の絵か彫りかがある。

このお寺のすぐ下に1軒だけある民宿に予約が取れなかったので、3kmほど北のJR鴨島駅前のビジネスホテルまで後退。14:50ホテル着。全身びしょぬれの上に、肩が限界。5時からというお風呂までに食事と徳島県の地図を買いに行く。うどんか何かあったかいものを食べたかったのに、商店街はあまり食べ物屋さんがなく、結局モスバーガー。お昼もろくに食べてなかったのに、全部食べられずポテトを密かにお持ち帰りしてしまった。食が細くなったみたい。

本日の歩行距離 : 24.2km

これで以後20km/day をベースに計画を立てる。そもそも荷物は5kgが基本らしい。私のは間違いなく10kgはある。

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