のらくら遍路日記〜土佐Vおよび伊予/菩提道場前篇 | ||
北村 香織 |
≪この旅のおわりに≫
あれからベッドに横になった途端に眠っていた。朝まですっかり爆睡状態。でもその中で夢を見ていて、しかもその内容に我ながら驚いた。なんともスケールのでかい夢で、これは私の個人的無意識を超えたもののように感じる。早速師匠に報告すると、この夢を聞いた彼は「なんかあなたのお遍路は1つ(段階として)終わったような感じがするねぇ」としみじみ言った。今回はゴールデンウィークを利用しての旅だっただけに、帰るとすぐに日常が押し寄せて、あまりじっくりこの旅についての思い出に浸るとか自己分析はできなかったけれど、できないと言うよりはむしろ、私自身にあまりそういう気が起きなかったというのが正解だと思う。何と言うのか、私の背後に流れる自然な流れ、それは“大いなるもの”と言ってもいいと思うけど、それに乗っていきたい気持ちがますます私の中で育ってきたように感じる。次の旅はおそらく夏休み。夢の示唆する通り、もしこの旅が私のお遍路の1つの終わりなら、次はどういう旅になるんだろう。まだまだワクワクが止まらない。お遍路ってほんとうに不思議…。
そしてもうひとつ、この旅を終えたばかりの私に大きな出来事が突然降って湧いた。それは初めての臨床ケースの担当だった。この時期になってもまだ担当ケースを持っていないM2(修士課程2年生)はもはや僅か…という状況にあって、その残り僅かなグループに入る学生がこぞって立候補したケースだった。私はその候補者の中でも優先順位は高くなく、まさか自分にまわってくるとは思っていなかったのだが、決まる時というのはこういうもので、他の候補者とクライエントとのスケジュールが合わなかったり色んな事情から私になったのだった。後々このクライエントさんとセッションを重ねていく中で、決してこの2人のご縁は単なる偶然ではなく、やはり何か背後に大きな流れによって布置されたご縁であったことを私は何度も実感することになる。が、このケース担当が決まった時は、そんなご縁も感じたことは感じたけれど、一番大きく胸の中に広がったのは≪やっぱり今回の旅で私のお遍路は1区切りついて、このステージを終えたからこそケース担当がまわってきたんじゃなかろうか…≫という思いだった。
(H14.5.21/道中に書いた日記をもとに執筆)