第27回「小さな親切」作文コンクール特別優秀賞 (主催 社団法人「小さな親切」運動本部)
[転載許可: 2003.05.22]


五つのアメ玉

愛媛県大洲市立新谷中学校二年
亀岡 那美

 みなさんは、「お接待」という言葉を知っていますか。お接待とは、お遍路さんに食べ物やおさい銭を渡すことです。私は、六歳から、友達の家族と一緒に掛軸を作るため、四国八十八か所のお寺を四年かけてお参りしました。
 四国四県約千四百キロの道を、日曜の朝三時に出て、海や山を車で走り、長い階段を登り、お寺の本堂で手を合わせます。兄や友達とはしゃぎ過ぎて、お坊さんに叱られたりすることもありました。今考えると、とても恥ずかしいことです。
 けれど、遍路に来ているおばさんが、「小さいのに偉いね。」と言って、使っている筆箱をくださったり、本堂の前で、座ってお経を唱えていたおじさんから、「これをあげよう。」と、きれいな赤や金の糸で織り込んだ錦札を頂いたり、お菓子をお接待してもらったりしました。私はいつももらうばかりで悪い気がして、(何か、お遍路さんにお返しがしたいな)と、思うようになりました。
 私の家は、八十八番のうち、宇和の四十三番から、久万町の四十四番の間にあり、歩き遍路さんにしたら、国道で車の排気ガスとアスファルトで疲れる道だと思われます。最初は、海苔が入っていた透明の箱にアメ玉を五個ずつ入れて、ガードレールにくくりました。少し怪しい風ではありましたが、たまに気付いてくれるお遍路さんもいて、メモ用紙に『歩き疲れてきていたので、アメで元気がでました。ありがとうございました』と、書いてありました。
那美さんのお接待コーナー  お遍路さんを見かけたら、走ってお茶やお菓子を持って行くこともありました。女の子が、小さな手からこぼれ落ちそうなミカンを渡してくれました。『デジャ・ヴの様でびっくり』と私の事をホームページで紹介してくださった方もあります。びっくりしたのは、当時小学二年生だった私の方でした。
 夏休みになると、学校でそだてたアサガオを持って帰り、花を咲かせました。そしてアサガオの種がたくさんとれたので、お接待のアメ玉と一緒に袋に入れました。
 お接待の場所も目立ちそうな場所に変えて、私の考えたキャラクターのイラストと『お遍路さん頑張って』という応援メッセージを書いて貼りました。一年後、『アサガオが咲きました』と大阪の方かち写真付きの葉書が届きました。これまた、びっくり。また、『昨年、こちらで頂いた種をまいたら、一年中花が咲いてます』とハワイからのお遍路さんも立ち寄られたことがあります。
 私には、お遍路さんの目的や、難しい事は分かりません。でも、私の小さなお接待を見て、喜んでくれるお遍路さんのことを思い浮かべるとうれしくなります。これからも、たった五個のアメ玉“お接待”を続けていこうと思います。


亀岡那美さん

 もともとこれは夏休みの宿題で、上手く書けたら串間さんに送ろうと思っていました。でも学校に持って行ったら(串間さん・幽黙さん・戸澤さん)の個人名は残念ながらはずされてしまいましたが、今回の受賞となりました。おかげさまで、東京に行って東京タワーや、クリスマス色の銀座や、地下鉄にも乗れました。ありがとうございました。

なみ(2003.4.24)


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