掬水へんろ館談話室
掬水へんろ館遍路トピックス [2005.10.08]
四万十川の「下田の渡し」、2005年末に廃止の方向
by くしまひろし

    談話室に、未確認情報として「下田の渡しの廃止が検討されている」との書き込みがありました(2005/09/20 田中です)。確認の結果、残念なことですが、これは事実のようです。

    みなと丸
    みなと丸

    高知県四万十市(旧中村市、2005年4月10日に、旧西土佐村と合併)の四万十川の河口近くを下田から初崎に渡る渡し船、通称「下田の渡し(下田・初崎の渡し)」は、2005年末に廃止となる見込みです。

    (情報提供: 四万十市建設課)

    現在運航している「みなと丸」は1976年(昭和51年)に建造された鋼鉄船で、市の所有です。就航以来30年が経過して老朽化しており、修理をしながら運行を続けているものの、腐食により船体(鉄板)の薄くなった箇所があるため、今後の運航に危険性があるとみられています。

    同船は、定員13人、運賃は大人100円で1日5回運航しています。

    1996年(平成8年)に四万十川大橋が架かってから利用客が一時減少したものの、遍路の増加や、市のホームページでの宣伝などの効果もあって増加傾向に転じ、2003年には11月末までに809名の利用があったと報告されています。しかし一方で、委託料、保険料、定期的なドック入りなど運用コストもかさんでおり、市は年間200万円を支出しています(旧中村市議会2003年12月12日)。市の財政状況は厳しく、かねてからこの渡し船の廃止も財政健全化対策の一つとされてきました。最近の老朽化の状況を踏まえて、このまま同船の運航を継続することはできず、また財政状況から新規に船を購入する余地はないことから、2005年末をもって廃止の方向で検討が進められているものです。

    この渡し船と同様に遍路道の一部として歩き遍路や自転車遍路に利用されている高知市浦戸湾の県営渡船(長浜〜種崎)も、2001年に廃止が検討されたことがあります。こちらは、地元住民の声や観光資源としての価値も見直された結果、存続という結論になり、現在では民間委託の形態で運営されています。

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