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遍路宿 (へんろやど) |
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宿の種類
現代では、「遍路宿」という特別の分類があるわけではありません。主として歩き遍路の立場から見た場合に、利用しやすい宿には、民宿などがあります。昔ながらの遍路宿が続いて営業している場合もありますが、釣りやサーファー向けの宿、工事関係者向けの「ビジネス旅館」的な宿などが多いようです。
主な宿の種類と留意点について解説します。
民宿 いわゆる「遍路宿」の典型は民宿でしょう。1泊2食で6000〜7500円程度。商売とは言え、家族的経営のため、予約に応じて食材を仕入れるという場合もあるので、また急な宿泊や予約変更は迷惑をかけることがあります。「Q & A - 宿には全部予約を入れておかないとダメ?」も参考にしてください。 旅館 「民宿」と「旅館」の区別は明確ではありませんが、おおむね旅館業法の扱いの区分にしたがって規模で区別されているようです。「旅館」となると中には高級なところもあるので、予約時には料金をよく確認したほうがいいです。 宿坊 寺院が経営している宿泊施設。1泊2食の協定料金は5500円から(税別)で、民宿より多少格安ですが、食事、入浴などサービスレベルは一般の旅館とあまり違いません。なお、個人では泊まりにくい場合もあります。「体験的・遍路百科 【宿坊】」や「Q & A - シーズンオフには、宿坊には泊めてもらえない?」参照してください。なお、同じ「お寺に泊まる」場合でも、「通夜」というのは全く別で、野宿の延長です。下記を参照ください。 公的な宿 国民宿舎や厚生年金福祉施設などがあり、比較的低料金で安心して泊まれます。 ビジネスホテル 民宿と比べると「ビジネスライク」なので、早朝出発や遅い到着でも気兼ねが要らないという利点があります。素泊を基本とするところが多いです。ただし、「ビジネスホテル」「ビジネス旅館」と名乗っていても、実態は民宿と同様のところもあります。 (善根宿) お遍路さんに無料で宿を提供してくれるお宅がいくつかあります。宿泊だけのところや、食事まで提供してくださるところもあります。ご先祖の命日には必ず遍路を泊めるというお宅や、年中無休で善根宿を開いているところもあります。一般に無料サービスといえば、企業が宣伝のため、あるいは行政機関が地域振興のために行うという場合が大半だと思いますが、「善根宿」は個人の信仰などに基づく行為です。昨今、こうした善根宿やお接待情報をことさら探し求める風潮が一部にありますが、「ご縁があれば、ありがたくお世話になる」という風に考えた方がいいと思います。
へんろみち保存協力会編『四国遍路ひとり歩き同行二人』は必携
まず、必携の資料は、へんろみち保存協力会編『四国遍路ひとり歩き同行二人』です。これは2分冊のガイドブックで、第1部が遍路実行のための解説と八十八ヵ所に加えて番外霊場を含む246霊場の解説、第2部が、地図と宿泊施設一覧表になっています。ここには約1千件の、民宿その他の宿泊施設がリストアップされています。
『四国遍路ひとり歩き同行二人』の入手方法は、下記を参照してください。
宿を予約するときの注意 - 「無断キャンセル」を防ぐために
最近、遍路宿の「無断キャンセル」が目立っていたという指摘があります。遍路の数自体も増加しているし、社会全体のモラル低下を反映しているという要素もあるでしょう。
ただ、一部には、自分が予約した宿を取り違えて別の宿に泊まってしまうという事例もいくつか判明しています。予約したはずの宿は「無断キャンセル」で困り、実際泊まった宿は、予約は受けてなくても空室があれば商売ですから泊めるのは自然なことで、その事実を宿や本人も気がつかない結果になります。
上記『四国遍路ひとり歩き同行二人』では、宿の名前と電話番号が左右に離れていますので、1行取り違えて電話するといったことが起こりがちです。また似た名前の宿も多々あります。予約の際には、電話番号に鉛筆などで印をつけてから電話をするか、あるいは予約候補先を別にメモしてから電話をすると、後で確認し易くなります。
25番津照寺の近辺には、「ホテル竹乃井」「ビジネス旅館竹乃井」という宿があります。僕は、前者に電話予約したのに、手帳には後者の名前と電話番号をメモしてしまい、当日「予約がない」と言われて、あわてたことがあります。このときには、両ホテルの経営者が姉妹同士で、連絡をとりあって下さったため事情が判明し解決しました。
足摺岬の東には「民宿旅路」、西には「旅館旅路」があります。39番延光寺と40番観自在寺の間には「岡本旅館」が2軒あり、40番観自在寺と41番龍光寺の間には「よしのや旅館」と「旅館よしのや」があります。69番観音寺手前の「一富士旅館」から約6キロ先の70番本山寺近くにも「一富士旅館」があります。
名前が似ている場合は、宿の方でも取り違えにはある程度注意しておられると思いますが、歩き遍路では、40泊近くの宿に泊まることになります。人間のすることですから40回に1回ぐらいのミスは起こり得ると考えるべきでしょう。できることならミスを減らして、宿に迷惑をかけることを防ぎたいものです。
新しい情報
『四国遍路ひとり歩き同行二人』は第6版に掲載されていない新しい宿について、僕自身の得た情報や「掬水へんろ館」の読者の方からお知らせ頂いた情報を下記に掲載してありますので、併せてご利用下さい。
相部屋のすすめ
近年、歩き遍路の急増にともない、特に春やその他の連休時期には、宿が満室となり宿泊できないという事態が目立っているとのことです。歩き遍路は個人で行動する場合が多く、客室の利用効率が低いという面もあります。へんろみち保存協力会では、『宿泊所ご利用のアドバイス 』 を発表して、相部屋の活用を推奨しています。
野宿
費用の節約のため、あるいは、道中修行のため野宿で回る方も少なくありません。僕自身は野宿の経験がありませんが、経験者の方々のご意見を参考に『体験的・遍路百科 【野宿】』にまとめてありますので参考になさってください。
なお、野宿で歩く女性の方もあるようですが、「四国だから」、「お遍路だから」といって、安全が保証されているわけではありません。現実に様々な事件もあり、それなりのリスクはありますから、よく考えて行動なさるようお勧めします。
通夜
お寺には、夜通しお勤めをする「通夜」のためのお堂=通夜堂などの建物があり、これを利用して泊まらせていただくことを、本来の「通夜」の意味とは違いますが「通夜させていただく」などと言います。
これは、「宿坊」に料金を払って「お客様」として泊まるのとは異なり、一夜の野宿の代わりに屋根のある建物の一部を使わせていただくというものです。電話で予約するような筋合いのものではありませんが、利用する際にはお寺の承諾を得る必要があります。またすべてのお寺で通夜堂などを利用させていただけるわけではありません。基本的に、寝具、食事、風呂などは利用できませんし、個室や男女別の部屋が確保されるということもありません。
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