菅笠 (すげがさ) |
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「一笠一杖(いちりゅういちじょう)に身を託しての巡礼」と言うように、菅笠は、遍路の伝統的な「衣裳」の一つです。それと同時に、日光や雨を防ぐのに大変便利な実用的な装備でもあります。遍路は金剛杖も必須アイテムですが、雨の日、右手に杖、左手に傘ということになると両手がふさがってしまい、不便だし、危険です。その点、菅笠をかぶっていれば、傘は必要ありません。(ただし、菅笠は雨傘ほどの直径はありませんので、雨具としてレインコートやカッパの類はいずれにしても必要です。)
一般に、お遍路さんの「制服」は白装束ですが、ザックを背負うと後ろからは白く見えないという欠点があります。その点、菅笠は遠くから見ても目立つので、「お遍路ここにあり」と表示するのにも役立っています。
菅笠には、
迷故三界城 悟故十方空 (迷う故に三界の城 悟る故に十方空)
何処有南北 本来無東西 (何処に南北ありや 本来東西も無し)と記されています。このほか、前に弘法大師を表す梵字(サンスクリット文字)、後ろに「同行二人」(どうぎょうににん)と書かれています。「同行二人」とは、「弘法大師と二人で歩く」という意味で、手に持つ金剛杖は弘法大師の身代わりの意味があります。つまり、遍路の本質は現実的には「一人で歩く」ことです。
菅笠を買ったら、ひもをもっと丈夫なものと取り替えると良いでしょう。普通、貧弱なひもしか付いていないので、風が吹いたり、幹線道路で大型トラックが通り過ぎたりすると、あおられて飛ばされてしまうことがあります。
菅笠は、梵字が前になるようにかぶります。僕は、頭に手拭いを巻いてから菅笠をかぶっています。こうすると、中の輪の突起が当たって痛いということがないし、笠の座りもよくなります。
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