掬水へんろ館Q&A談話室
掬水へんろ館[四国遍路 Q & A]
宿には全部予約を入れておかないとダメ?
くしまひろし

気ままに歩き遍路を楽しむという観点からすると、前もって日程を厳密に決めてその通りに歩くというのはどうも面白くありません。また、宿にも色々あるので、せめて外観を見てから決めたいという気もします。でも、やはり事前予約をお勧めします。

歩き遍路のコース上には、遍路が泊まるのに適した宿が何軒も固まった地域もあれば、前後数十キロにわたってそこしかないという場合もあります。泊まる積もりでいた宿に泊まれないとなると、さらに何時間も歩くか、交通機関を使って利用可能な宿泊施設まで往復するといった手間が発生します。遍路宿は、都会のビジネスホテルと違って、いつでも営業しているとは限りません。資料に載っていても、廃業している場合もあれば、単に「今日は休み」ということもあります。遍路シーズンではなくても、工事関係などのビジネス客で満杯になっていたり、合宿で貸し切りという場合もあります。泊まれないことが事前に分かっていれば、それなりの手が打てるというものです。

上記は、歩き遍路の立場からみた予約の必要性なので、「いざとなったら野宿も辞さず」という方は強気になるかもしれません。ここで、宿の立場にもなって考えてみましょう。多くの民宿では、刺身など新鮮な食材を使った食事が出ますが、基本的に予約の状況に応じて食料を仕入れているようです。夕方突然門口に立って、「泊めてくれ、食事も出してくれ」と言われても難しいという事情があるようです。もちろん宿によっては、どんなに遅くなっても歩き遍路は断らないという方針をとって、ありあわせの材料で何とか対応してくれる場合もありますが、余分な負担をかけることになるし、他のお客にしわ寄せが行くかもしれません。

では、いつまでに予約したらいいのでしょうか。歩き遍路の立場から見ると、行程計画に影響しますので、1週間程度の区切り打ちで、終わりの日程が決まっている場合は、計画時点で早速電話して予約してしまうのが一番です。個人客なら、万一変更の場合でも、てきれば前日、遅くとも当日朝までに電話すれば、実質的に迷惑をかけることはないし、快くキャンセルや変更に応じてもらえるはずです。通し打ちならば、最初の1週間分ぐらい予約しておくと安心です。毎日の進み具合に応じて、その先を予約したり、必要に応じて変更したりすればいいでしょう。すいている季節なら、前夜に翌日の宿を予約するというパターンでも問題ありません。

ビジネスホテルなどですと、通常、電話予約するとき、こちらの電話番号も確認するのが常ですが、民宿の中にはそれをしないところもあります。こちらの名前さえ、ロクに書き留めていないように見受けられることもあります。でも、当日行ってみると、待ち構えていて「遅いから心配した」などと言われます。くれぐれも歩き遍路に対する信頼を裏切らないようにしましょう。無断キャンセルなど無礼な遍路が増えているという話もチラホラ聞きます。宿にも、他の遍路にも迷惑となるこのような行為はくれぐれもしないようにお願いします。

赤の他人の無断キャンセルを引き合いに出されていやな思いをした遍路は少なくありません。僕も被害者の一人です。

結論です。

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