掬水へんろ館Q&A談話室
掬水へんろ館[四国遍路 Q & A]
歩き遍路を体験して、得たものは何ですか?
くしまひろし

僕の遍路は、信心に発するものではなく、単なる興味、あるいはストレス解消といったものに過ぎませんが、3年間の区切り打ちを通して、人々との触れ合いの貴重さを実感しました。また、自分が無信仰であっても、信心深い四国の人々の思いを受け止めて、お大師様に伝える役目は果たせたのではないかと思っています。こういうはしょった言い回しは、仏教徒の方にとっても、それ以外の方にとっても理解不能な表現かもしれません。

自分の足で歩くという基本的な条件を課した上での目標達成感は、ゲーム感覚を満足させます。しかし、歩き遍路とハイキングの差がどこにあるかというと、歩き遍路は、四国の人々との相互作用だという点です。肉体的・精神的な負荷がかかった状態で、お接待などのもてなしを受け、さらには合掌されるという体験を通じて、自分自身が成長する気がします。

このように、歩き遍路の本領は人々との出会いにあると思っていますが、そうした素晴らしさを他人にも伝えようと遍路日記を書き、出会った人々に送ったりホームページに公開することを通じて、「遍路」が僕の人生に新しい軸として加わりました。今までになかった交遊の輪が広がったのです。

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