掬水へんろ館遍路の本談話室
掬水へんろ館玄さんの四国八十八ヶ所遍路日記

玄さんの四国八十八ヶ所遍路日記 藤井玄吉『玄さんの四国八十八ヶ所遍路日記』 (文芸社,2000年)
本体価格 1200円, ISBN4-8355-0223-X

著者は、昭和9年(1634年)生まれで、広島県在住。県や酪農組合等の仕事をされ、1996年(平成8年)にリタイアされました。リタイヤ直後の6月から7月にかけての通し打ちの記録です。

「一気に歩いて回る」というと、最初は、周囲の人や奥様に反対されたそうですが、たまたま知人に経験者がいたことなどから理解も得て、出発にこぎつけました。出発時のリュックの重さは10キロ。道しるべやシールをたどりながら順調に歩き始めますが、次第にマメもでき、足首の腫れに苦しみ、足摺岬では診療所で治療を受けることになります。この季節は、僕もマメが化膿し苦しんだことがありますので、一歩一歩のその痛さが想像できます。結果的には、電車やタクシーを使ってしまった部分もありますが、36日目で結願しています。

全体行程を45日と想定しての出発ですが、出発時点では「四国遍路ひとり歩き同行二人」の地図を入手していません。細かい計画は立てず、毎日の行程や宿は行く先々で相談しながらの旅です。でも、尋ねる相手も歩きのコースに詳しい人ばかりではないため、車感覚で安易なアドバイスをする方もあり、読んでいてハラハラしました。

毎日宿泊した宿の様子なども実名入りで書かれていますが、最初の1週間ほどはほとんど宿の対応についての記述がないのに対して、その後は、良かったところ、気に入らなかったところの記述が増えてきます。初めのうちは、まずは歩くのに夢中なのが、だんだんとその他のことにも視野が広がってきたということでしょうか。遍路道沿いの畑の作物にも関心をもって、出荷方法や反収を尋ねてみたりするところは、仕事柄を伺わせます。

1番霊山寺のお礼参り、そして高野山参りを済ませた足で再び四国に戻り、松山でご家族と合流、道後温泉でくつろぎます。長い留守を許してくれたご家族への感謝という著者の心遣いです。

くしまひろし

〔広 告〕
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