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掬水へんろ館阿部春夫さんの実況遍路日記 《1999年3月20日》
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高知城
高知城

天気:雨夕方曇り、気温低い、体感温度寒くて震える、出発:高知城近くのJR四国土佐 7時30分出発、到着 34番 種間寺から6kmの喜久屋旅館に16時到着、札所31番から34番まで、34610歩、走行距離19.4Km、所要時間:7時間23分、お接待:3回、尺八献曲1寺、平均時速2.6Km、体重:測定出来ず、PHSアンテナ立たず

晴れを期待するが天気予報では曇り、高知城に登り桜をめでる。開花宣言とは、一輪咲いても開花宣言らしい。お城中の咲いている花を全部集めても20個あるかどうかという気がする。

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はりまや橋竹林寺
はりまや橋竹林寺

「はりまや橋はどこにありますか?」遍路にお寺の行き先でなく名所を聞かれたのでびっくりしたらしいが親切に教えていただく。このころから雨がぽつぽつ降り出す。予定外の早さである。竹林寺の石段を登るころには激しく雨が降り出す。リックのカバーをしたが雨具は着る気にならない前回の雨で雨具の役を果たさないことが身にしみてわかったからだ。4万円もしたゴアテックスのウイドブレイカーだがクリーニングに出してからは雨が染みてくる。装備が不備なのは致命的だ。

禅師峯寺をお参りしたら、バスで高知に戻り雨具を入手しなくてはと思い、献曲後、禅師峯寺に向けて早足に歩きだす。首から冷たい雨が容赦なく背中をつたう。川沿いの土手道はさえぎる物は何もない、冷たい風がほほを殴って行く。これでもか、これでもかと。

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禅師峰寺
禅師峯寺

一台の車が止まる、ビニールの傘のお接待だ、車から出ることさえ大変なのに、南無大師遍照金剛、南無大師遍照金剛、南無大師遍照金剛、名前も聞けなかった。車が見えなくなるまで、頭は上がらなかった。冷たい雨と、風を防いでくれるビニール傘にはお大師の暖かさがある。ありがとう。

しばらく行くとお遍路さんが三人駐車場で雨宿りをしている。聞けばこの寒さでこれ以上歩くことは危険と判断し、タクシーを呼んでいるとのこと。いっしょにお仲間に入れていただくことにする。(お接待)今日13時30分ころのエアーで名古屋に帰るとのこと禅師峯寺で名刺を交換し分かれる。

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雪蹊寺
雪渓寺
種間寺
種間寺

相次ぐお接待で激しい雨にもかかわらず、すっかり元気になり雪渓寺に向かう。行けども食堂がない、あっても店を閉じている。お腹が空いて寒い。畑はあるが人家がない、その為かバスも走っていない。やっと長浜、風と雨を考え、浦戸大橋を渡る、別名心中橋、歩道が狭い。右手に傘、左手に杖。何度かトラックの風圧で車道に引き込まれそうになる。橋の頂点から海面を見るとあまりの高さに目がくらむ。

やっと雪渓寺。寒さで震えが止まらない。お参りもそこそこにお大師様と相談しタクシーを呼び種間寺へ、種間寺の納経所のお姉さんもあまりに濡れている様子に、歩き遍路の道を聞きもしないのに親切に教えてくれる。「誤って車道を行くと三時間は余分にかかりますよ!」

後ろめたい気持でタクシーに乗り喜久屋旅館に向かう。途中、村の「なんでも屋」でビニールの雨具を調達。そのころには雨も小降りになってきた。パソコンを打っていてもクシャミが止まらない。明日も雨、これで打ち上げになってしまうのか?

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