掬水へんろ館目次前日翌日著者紹介
掬水へんろ館阿部春夫さんの実況遍路日記 《1999年3月15日》

天気:大雨強風、気温やや高目、体感温度濡れて寒い、出発:13番 名西旅館15日7時40分そして19番立江寺到着15時、札所14番から19番まで、385054歩、走行距離21.7Km、所要時間:7時間35分、お接待:2回、尺八献曲1寺、平均時速3.2Km、体重:測定出来ず、PHSアンテナ立たず

昨夜、定年退官されたYさんと意気投合、ビールは飲まないが、職業がら接待モードで、麦般若で功徳を積みすぎた。そのため朝起きられず出発遅くなる。そのため今日はお大師様の怒りに触れ、全身横殴りの風雨に曝され、ずぶ濡れになって歩く。

捨てる神あれば拾う神あり14番納経所で納経料のお接待、ジュースでも飲みなさいと言われびっくり、とっさにお遍路自動モードに切り替り南無大師遍照金剛と3回唱える。

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弘法大師像

その後もお大師様の怒りはおさまらず。転んだ拍子にデジカメを路面に叩きつけてしまった。井戸寺で水をかぶったデジカメを手ぬぐいでふき取る。本堂のお守りをしているおばあ様と雨の中での出来事を話す。いたく同情される。ロータリースイッチ部分が凹み回転出来ない。表示はNOカードエラーで動かない。全身ずぶ濡れで身体も寒く、ひどく落ち込む。メデア取りだしの蓋が開かない。力を入れて無理に開き、もう一度メデアを差し込みなおすと撮影モードのみ機能することが判る。少し救われた。お大師様の奇跡か。

急遽徳島に引き返しカメラ店で相談するがメーカー送りとのこと。今回は撮影出来れば良しとし、巡礼を続ける。

恩山寺辺りから雨が小降りになり立江寺に着くころには完全に止んでしまった。初めての宿坊であるがなかなか快適である。ここは名西旅館と違って暖房費は無料である。速く濡れたものが乾くよう30度に設定する。暑くまるで南国に行っているよう。

団体さんと夕べの勤行、本殿の仏像をまじまじ見ると、なかなかの好男子におわす。「朝は希望に起き、夕は感謝に眠る。これが菩薩行の一日である。」「朝は雨で失望して起き、夕は妥協と諦めに眠る。これが凡人の一日ある。」

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