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潮見英幸 『サンダル遍路旅日記 』 (文芸社,1999年)
ISBN4-88737-344-91977年生まれの著者が1998年5月9日から、43日間で四国を歩いた記録です。僕も、昨年の5月に、40番から53番まで歩いたので、時期は多少ずれているにせよ、近い体験が描かれ、親しみをもって読みました。十夜ヶ橋の先のナミちゃんのお接待など、懐かしく思い出します。
著者は、一度遍路をしかけて挫折したことがあり、今回は、2カ月半勤めた牧場を辞めての遍路、というふうに何事にも長続きしない性格のようです。その意味では、この遍路をやり遂げることは、彼にとって一つの挑戦だったのです。
「仕事のこと、生き方のこと、いろいろと考えらされ、残りの二十歳の時間を使って本を書こうと思いました」とのことですが、歩き遍路をなし遂げ、本を一冊書いたのですから、確実に一つステップアップしたと言えるでしょう。
足摺岬へ向かう途上の民宿旅路で、おばあちゃんから今まで泊まった人の話をいろいろと聞かせてもらって、「僕もこのあと泊まった人にこんな風に話してもらえるんだろうか?」と思い巡らすところは、最近の僕が直面している問いでもあります。
ただ、本書の全体を通じて、週刊誌や最近の軽薄TV番組風に、問題を指先で軽くつついて浅く短くまとめてしまうやり方や、「〜〜することに。」と止める文体には抵抗があります。世代差のせいでしょうか。
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