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〈責任〉のゆくえ システムに刑法は追いつくか
佐藤直樹〈責任〉のゆくえ システムに刑法は追いつくか (青弓社,1995年)
ISBN4-7872-3100-6

著者は私の古い友人です。「遍路日記」を送ったところお返しに自分の著書を送ってくれたので読んでみました。

客観的な事実認定と、犯意の存在と、違法性という条件が犯罪の成立要件とされていることに対して、客観的な事実認定というものから疑ってみる立場から、責任という概念を問い直そうという著書です。

刑事裁判の実務においては、上記の建前とは別に、何とか犯人の動機とか心情を「理解」し「解釈」し、「責任幻想」を犯人と共有することによって、その例外的な行動を受け入れる、という構造になっているようです。

客観的な事実認定というものの存立根拠を疑い、かつ、昨今の異常な犯罪のように責任幻想も成立しないということになると、刑事法の基本となる「責任」をどう捉えていったらよいのか、という問題提起の書です。

一時は、慶応大学通信教育の法学部の学生だったこともある私としても、興味の持てる分野です。

〔広 告〕
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