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空海の風にのって 中年自転車四国遍路のススメ
北 勲空海の風にのって 中年自転車四国遍路のススメ (求龍堂,2000年)
ISBN4-7630-0025-X

1943年(昭和18年)生まれで資生堂の現役サラリーマンだった著者が、満50歳の誕生日を迎えて「なにかに挑戦してみたい」と思いついたのが、自転車遍路でした。毎週土曜日と日曜日に水泳と自転車でトレーニングを重ね、1995年の4月29日から5月6日と7月22日から29日の2回に分けて1420キロを走り通して涙の結願を果たすまでの記録です。

1回目を終えて2回目までの2ヶ月間、いったん「現世」で仕事を続けながら「無性に早く四国に戻りたい」という衝動にかられる気持ちが、僕も同じ区切り打ちなのでよく分かります。

遍路が終って「自分の死が妙に身近に意識でき」と述べていますが、著者は遍路旅から4年後、なんと働き盛りの年齢で急逝していまいます。資生堂を退社して第二の人生のスタートを切ることを決意し、その区切りとして神奈川県で開催されたトライアスロンに出場中の事故でした。

結果論になりますが、著者の遍路旅は、全力で駆け抜けたサラリーマン生活にきちんと句読点を打つために必要な人生の要素だったのかも知れません。この遺稿の巻末には、著者を知る人々からの暖かい回顧も付記されています。

〔広 告〕
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