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お遍路は大師さまと三人旅 - 歩いて見つけた夫婦の絆-
財津定行お遍路は大師さまと三人旅 - 歩いて見つけた夫婦の絆- (リヨン社,2000年)
ISBN4-576-00540-5

横浜在住、石油会社に36年勤めて55歳で退職した著者が、夫婦で歩いた四国遍路49日間の紀行です。

奥様は2年前に南アルプス登山で左足を骨折し、スネに金属を入れたままの旅です。そんな奥様への思いやり、夫婦の会話、思いやり、時には感情の行き違いからのけんかなどを、著者は率直に記しています。

テレビを見ながら納経しているので悪評の徳島県内の某札所では、掛け軸の隣のマスまで汚されてしまいます。奥様は「あなた悔しいね」と涙を拭く。描かれているのは1998年のことですが、2000年1月に僕がその札所で納経してもらったときも、執務姿勢はまったく同じでした。

歩き遍路で困るものとして、マムシや犬があげられるのが通例です。でも、著者は自宅で犬を飼っていることもあって、四国で出会った犬たちとは、実に友好的に接しています。このへんは、僕にはとうていマネのできない点です。

ひとり歩きには一人歩きの良さがありますが、夫婦での歩き遍路にはまた違った魅力があります。一人では見過ごしてしまうような出会いも、二人だと多彩な展開をみせます。そして、杖を取り違えられたり、足を痛めて新しい靴を取り寄せたりしながらも、無事に結願。お礼参りの1番の境内では、二人は満願の感動を味わいながら、「気恥ずかしい」握手をかわします。

中年男性ひとり歩きの遍路日記は、最近特に多く出版されていますが、本書は夫婦での歩き遍路の記録として、ひとあじ違った味わいがあります。

〔広 告〕
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