高田京子『ある日突然、お遍路さん』 (JTB,2000年)
ISBN4-533-03579-5
自己探究のための講座や講演活動などを行っている「C+Fワークショップ」が企画した歩き遍路区切り打ちの企画に参加したことから、1993年から1996年まで4回に分けて歩いた遍路の記録です。著者がこの1回目の体験を描いた「巡礼の道を行く」は1994年度JTB旅行記賞を受賞、1995年に出版された『四国八十八ヵ所めぐり』に、歩き遍路についての実践的な解説を書くことにつながっていきます。(この『四国八十八ヵ所めぐり』は僕自身の歩き遍路のきっかけとなったガイドブックです。)
さて、最初の3回は、この企画に応募した参加者10名前後の団体行動です。歩き遍路中には精神的・肉体的に厳しい状況もあって、初対面のメンバーとの間でさまざまな摩擦や誤解に悩む様子も率直に描かれています。結局結願の旅となった4回目は、団体行動を離れて、親しい友人のみでの旅となっています。
疲労の極限での「悟り」のような不思議な没入体験、持ち切れないお接待を断ってしまった後の割り切れない気持ち、偶然の符合への驚き…、きっと遍路の途上で一度は体験するできごとに、自分の記憶を重ねながら読んでいきます。
今、この記事を書いている2000年10月、著者の高田京子さんは2周目の歩き遍路に出発して1番から33番まで歩かれました。