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香月葉子 『S [エス] 』 (東京書籍,1995年)
ISBN4-487-75426-720歳の姉を愛している中学生の妹が、嫉妬から背伸びしての姉の恋人にちょっかいを出すその細かな心の動き・跳躍・波動をキラキラとした文体で表現しています。決して大人の物語ではありませんが、友達と交わす 「霧雨って好きだな。ね、芸術家ってけっこう恋人をとりかえたりするって知ってた?」 なんていう飛躍の多い会話や、女の子の友達の裸の肌にカタツムリを這わせて写真をとる場面など、早熟な少女のあやうい魅力が出ています。
カバーの略歴によると、作者は大学卒業後、米国で数年間旅にくらしたとのことです。COSYとかNEATとかわざわざ大文字で英単語のまま使われていたり、やたらと「わたし」という主語が出てきますが決してイヤみではありません。この本も、八重洲古書館で見つけた本で、何となく手にしたのですが「当たり」でした。
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