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中島梓 『コミュニケーション不全症候群 』 (ちくま文庫,1995年) [筑摩書房,1991年]
ISBN4-480-03134-0「おたく」論にはじまり、JUNE症候群の検討を通じて、現代の人類を蝕むコミュニケーション上の障害を解明しようと試みています。
色々と示唆に富む評論ですが、面白いと思ったことの一つは「おたく」の本質として、何らかの虚構空間に「とりつく」という行動に着目している点です。このような言葉で回りを見てみると、真に創造的な仕事をしている人と、単に何かにとりついている人との違い浮かび上がってくるような気がします。
「おたく」の女性版ともいえるJUNE症候群の分析の部分は、評論家「中島梓」が作家「栗本薫」を大真面目に分析するという大胆不敵な手法です。(ご存知の通り両者は同一人物)。残念ながら僕はJUNE的世界には関心もなじみもないので、ちょっと抵抗感を覚えながら読み進みましたが、中盤、長女論に差し掛かると論旨も迫力を増してきます。検討の対象は永井豪、手塚治虫に及び、鉄腕アトムこそこうした現象の前駆症状と断じています。
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