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澤田ふじ子 『遍照の海 』 (中公文庫,1998年) [中央公論社,1992年]
ISBN4-12-203241-5京都の裕福な紙屋の娘に生まれながら、運命の波にもまれて一旦は死罪を宣告され、結局は四国に追われ、死ぬまで遍路として歩きつづけた一人の女性を描いたものです。
当時の四国遍路にはこのように、色々な理由で故郷を追われ、或いは自ら逃避して、遍路となって歩き続けた人々がたくさんいたということです。「木枯らしやわが身一つの棄てどころ」「月の夜やわらぢに痛し雪の道」など、主人公の詠んだ鮮烈な俳句に触れると、私のやっている趣味遍路が罪に思えて来ます。
こんな俳句が随所に挿入されているので、てっきり実話をベースにした歴史小説だと思って読んでいたら、最後になって、主人公の句帳が燃えてなくなってしまうので、意外でした。
あとがきと解説によれば、本作品はまったくのフィクションで、作者は構想5年、何度も四国に取材旅行をして執筆したとのことです。俳句はすべて作者の詠んだものです。小説家というのはまことに偉大だと思います。
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