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唯川恵 『ため息の時間 』 (新潮文庫,2004年) [新潮社,2001年]
ISBN4-10-133427-7雰囲気もモチーフも全くことなる9編が収められた短編集です。共通点は大人の男性が主人公ということです。それぞれの作品が、恋人、妻、浮気相手、父親などとの関係を軸に多彩な物語の世界を見せてくれます。
9編とも洒落た「落ち」が用意されていてそれなりに面白いのですが、特に、リストラされた男性を主人公とする『終の季節』が心に残りました。解説の北上次郎氏も同じ感想のようですが、寂寥感に立ちすくむ人間同士の出会いが、いい味で描かれています。甘いと言えば甘いかも知れませんが、そういうことでもあるならば、先の見えない人生も生きていけるというものです。
ブラックユーモアとしては『濡れ羽色』が面白かったです。結末は明記されていないのですが容易に想像でき、「なるほどそういう伏線だったのか」と感心しました。
身勝手な男、翻弄される男、さまざまな局面の男を描いていますが、身につまされる部分もありました。この作家は初めて読んだのですが、色々な男女をよく見ているのだと思いました。
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