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野々村馨 『食う寝る坐る 永平寺修行記 』 (新潮文庫,2001年) [新潮社,1996年]
ISBN4-10-123131-11959年生まれの著者は、30歳のとき仕事も恋人も捨てて出家し、永平寺に入ります。その1年間の修行生活を記したノンフィクションです。
入山時の過酷とも思える通過儀礼に始まり、食事から用便に至るまで細部にわたって決められた作法の中で、心身ともに不必要なものがそぎ落とされていく過程が綿々と語られます。
一般社会とは隔絶したその日常生活の内容は、部外者にとって非常に興味深いものです。例えば、食事についても詳しく描写されています。精進料理なので、材料として肉や魚を避けて、様々な野菜や穀類を使った変化に富んだ献立が詳しく紹介されています。
日々の生活は、静寂な思索環境というよりも、むしろ先輩・後輩の厳格な序列に従った軍隊的とも言える男性的な秩序と喧騒に満ちています。永平寺という大きな組織を支えるには、各種の管理業務、拝観者のガイド、広報、さらには電算業務までがあり、入山後、一定の過程を終えるとこれらの部門に配属されて、それぞれの役目を果たしていくことになります。
著者は、永平寺での1年間の厳しい修行生活を通じて、「ただ生きる」ということの価値を見出し、山を降りました。
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