掬水の果て > 読書日記 > 海馬(トド)

吉村昭『海馬(トド)』 (新潮文庫,1993年) [新潮社,1989年]
ISBN4-10-111730-6/4-10-324220-5

『闇にひらめく』<鰻>、『研がれた角』<闘牛>など、生き物を主題にした短編7編を収めています。

『闇にひらめく』は、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作の今村昌平監督「うなぎ」の原作だそうですが、映画の紹介で読んだストーリーと、本書の内容はずいぶん違います。映画のことは知らずに買った本ですが、いつもの吉村調で手慣れた粒揃いの短編です。動物や魚を媒介にして人間を描く手法は達人の域に達していて、読み終えてからよく考えるとストーリがしり切れだったりうまく完結していないような気もするのですが、満足してしまうのが不思議です。

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