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掬水の果て > 読書日記 > 黄色い本 ジャック・チボーという名の友人
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高野文子 『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人 』 (講談社,2002年)
ISBN4-06-334488-6コミック4本が納められています。
表題作の「黄色い本」はロジェ・マルタン・デュ・ガール著『チボー家の人々』という長編小説を読みふける少女を描いています。読書の楽しみ、遠いヨーロッパの虚構の世界と、日常の現実とのとほうもない落差、そしてその境界をただよう快感、それらは、かつて読書の快楽を知った人なら誰しも覚えがある感覚だと思います。
これといって起承転結がある物語ではありませんが、結末の潔い清々しさが気に入りました。父親のキャラクタも魅力的です。ほっとする作品です。
ほかに、「マヨネーズ」と「二の二の六」は、実ったり実らなかったりする意外なカップルを描いていて楽しみました。「CLOUDY WEDNESDAY」は別の作家の作品のパロディのようなのですが、オリジナルを知らないのでよく分かりませんでした。
ところで、5巻組みの『チボー家の人々』を、僕も主人公と同じように高校時代に図書館で借りて読みました。大人になってから古本屋で一揃い手に入れ、今も書棚の一角を占めています。一生のあいだに再読する機会はないかも知れないけど、若かりし頃の《没頭する》読書のなごりを惜しむためかも知れません。
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