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姑獲鳥(うぶめ)の夏
京極夏彦姑獲鳥(うぶめ)の夏 (講談社文庫,1998年) [講談社ノベルス,1994年]
ISBN4-06-263887-8/4-06-181798-1

この人の作品は初めてです。会社の同僚には他の作品を勧められたのですが、文庫本で出ていたのはこれだけだったので、とりあえずどんな作風なのかと手にとりました。

超現実的な世界に入りそうになりながら、結局は現実的な結末をつけてしまっているようでもあり、でもやはり夢うつつのところが残ったまま終わる奇妙な小説でした。枝葉を取ってしまうと大したお話ではないのですが、枝葉が豪華なので、僕は楽しみました。

枝葉というのは、博学の主人公が雑談風に持ち出す古今東西の知識や解釈のあれこれで、結局のところ、本来のストーリーは、この枝葉の装飾を楽しむための通路に過ぎないのだと気づきます。応用物理学科出身の僕も、不確定性原理をこの作者のように思念上で弄んだことがあるので、親しみを感じました。

〔広 告〕
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