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掬水へんろ館ウマヤドの自転車遍路1人旅《8月10日 - 8日目》
今日は一日中「よさこい祭り」を楽しんだ。
お祭りを見ていたら肩をたたかれた。
昨日、国分寺で逢った八王子の歩き遍路。
「ここまで来てしまいましたよ。
昨日、あなたに逢ってなかったら、
善楽寺で打ち上げだったところだけど、
ふと、高知市の歴史資料館を見てからにしようと思って。
それから帰ります」
「そうですか、残念だな。でももう少し行ってみれば?」
後はほかの話になって、10分ばかりの立ち話。
住所を交換して別れた。

あとの話になるけど、2ヶ月後に彼から電話があった。
結局、最後まで打ち上げたそうだ。あの時、やめて帰ろうと思っていたのに、
あなたに2回も逢ったのは、もしかして自分の弱った気持を、
御大師様が力づけてくれたのかもしれない。
そう考えて遍路を続けることにした。
あなたが御大師様の化身のように思えて、
それからは、自転車のあなたが事故などに巻き込まれず、
最後まで回れるようにお祈りしました。

そんなこと言われるのはおこがましいが、
人は一人では生きてないなぁと痛感した。
普通なら今日は須崎に向かってた筈だ。
徳久君によさこい見ていけばと言われて、その気になった。
そしたら大混雑の中で彼と逢った。人と人との微妙な綾を感じた。
人の何気ない言葉に勇気ずけられることがある。
その反対に、何気ない言葉に傷つけられることもある。戒めなければ。
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