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掬水へんろ館

1999年5月8日
巡拝初日より野宿とは・・・(転ばぬ先の杖と用意していったテントで危うくセーフ)

 駐輪場は7時でないと開かないので、6寺に起きて持ち物の用意をし、7時少し前に駐輪場に行く。
 開いていたのでバイクを貰い、一旦ホテルへ戻り荷物を積んで鳴門の霊山寺へ向かう。昨夜良く地 図を見ておいたので自信を持って出発したが、やはり途中で怪しくなり、地図(徳島県全図)では 判らず、結局地元の人に聞く事になった。間違っていた。「此処まで来たならこう行きなさい」と 親切に教えてくれる。四国の人は遍路に対して本当に親切だ。見習うべきだと自分に言い聞かせる。

1番  霊山寺 8時着−−8時50分出

1番 霊山寺

霊山寺は相変わらず大勢の人で賑わっていた。参詣を済ませ、納経所で御集印用の掛け軸を買う。 ピンからキリまで有るが奮発して高いのを買う。 早速掛け軸へ納経をして貰い、いよいよ巡拝開始。 2番札所に向かう。此の道は歩きの時と変わりがないので人に聞くこともなく4分足らずで到着。

2番  極楽寺 8時53分着−−9時14分出

相変わらず山門が美しい。

3番  今泉寺 9時25分着−−10時52分出

極楽寺同様赤い山門が印象的。

4番  大日寺 10時07分着−−10時52分出

歩き遍路の千葉の吉川さんに会う。金婚式の5ヶ月前に奥さんを亡くされ、菩提を弔うために遍路に出たそうで、「実は私も金婚式4ヶ月前に同様に家内を亡くし昨年遍路に出たんですよ」と、同じ境遇を話し合い、気を落とさずに元気になって結願なさって下さいと励まし別れを告げる。

5番  地蔵寺 11時07分着−−11時29分出

寺についてリュックを下ろそうとしたら無い。しまった大日寺の駐車場に忘れてきた。 掛け軸を後ろの荷物へ差し込んでOKと思って来てしまったらしい。
慌てて引き返す。どうも注意力が散漫に成ってきたらしい。年のせい?? 疲れた?? 自問自答する。納経しようとしたら掛け軸をバイクの荷付けに忘れてきたり、さんや袋を前の篭の中に置いたまま本堂へ来てしまったり、どうもいけない。
五百羅漢を見ようと思っていたのにヘマをしたお陰で断念して次へ向かう。

6番  安楽寺 11時43分着−−12時02分出

7番  十楽寺 12時11分着−−12時34分出

安楽寺と十楽寺の山門は本当に良く似ている。多少十楽寺   の方が立派かな?   巡拝初日で何処まで廻れるか判らないので何か気が急く。

8番  熊谷寺 12時45分着−−13時30分出

古い多宝塔があり、参道にはご詠歌のテープが流れていて良い雰囲気だった。一人
旅の牧野さんという女遍路さんと話し会う。19才になった娘さんを亡くされた由。今日は4番と8番でつらい話を2つも聞いて、昨年自分が廻ったときの悲しかった気持ちが思い出され人ごととは思えずホロリとなってしまった。

9番  法輪寺 13時44分着−−15時09分出

境内の茶店でお茶と焼き芋の接待を受け、草餅を買って食べる。まだ昼食前だった
ので門前の食堂で遅い食事をする。

10番 切幡寺 14時40分着−−15時09分出

寺への坂道がどうかなと心配したがバイクは難なく登る。しかし駐車場へバイクを置き、山門から本堂までの330段の石段は、やはり大変だ。結構息がはずむ。
連休明けのせいか、或いは時間帯のせいか寺は参詣人も少なく静かで落ち着いてお参りすることが出来た。

11番 藤井寺 15時40分着−−15時52分出−−テント場17時40分着

前回は道を間違えて結構遠回りしてしまったが、今回は大きな道を行ったので間違える事もなく、すんなりと藤井寺到着。簡単に納経も済んだので焼山寺への道を教えて貰い寺を出る。梨の木峠という曲がりくねった道を通るから気を付けて行くように云われたが、山道なんか馴れたものだからと、たかをくくって出た。
後40q位だから何とか納経時間に間に合うだろうと急いで走り出した。
藤井寺で梨の木峠は細い道のように聞いていたので、山道に掛かってから間違えないように注意しながら登っていったら、軽自動車が登れる程度の道があったので、これが梨の木峠へ行く道だと思い、右に折れる。 お寺で云っていたように峠道らしい感じがしたので迷うことなく急坂をエンジンをギャーギャー噴かして登って行くうちに道がだんだん細くなり「おかしい、おかしい??」と思いながら登って行くと舗装が切れ、草ぼうぼうの道になり遂には行き止まりになってしまった。
やはり間違えていたかと、バイクをやっと方向転換して戻ることにした。
半分くらい戻ったところで運良くワラビ取りの地元の人が、ひょっこり道に出てきたので地獄に仏と道を尋ねたところ「こんな道を行ったら駄目だよ。元の分かれ道まで戻って広い道を下って行くように」と、教えられ、それに従って下って行った。途中で車の傍らに人が居たので「焼山寺へは此の道で良いですか? 何q位有りますか?」と尋ねたら「此の道で良いが30q位い有るよ」との返事。後1時間足らずだ。納経時間に何とか間に合うか? 兎に角すっ飛ばして行ってみようと、しゃにむに飛ばす。神山町を通過して右折れし、寺まで後8qの所で5時になり納経時間切れ、それでも宿坊に泊まれれば明日納経して貰えば良いからと、そこから寺に電話したら「今日は一杯だから」と断られた。

巡拝初日から野営

近くの民宿を二三当たってみるが何処も満杯で万事休す。今日は野宿と覚悟を決め、夕食のパンとジュースを買ってテントを張る場所を探す。
幸い神山町役場の上に、トイレと、あずまやの有る駐車場が有ったので、あずまやの下にテントを張る。万一を考えて持ってきたテントと寝袋が早速役に立った。
出来たばかりの綺麗なトイレで、入り口から入ると「トイレはみんなで使うもの、サッと流してバイバイバイ」とメロディが流れる、愉快なトイレだった。
役場の電灯でテントの中も明るく、快適な一夜を過ごすことが出来た。
(今日の記録 所要時間10時間10分  走行距離100Km)

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