掬水へんろ館体験的・遍路百科談話室
掬水へんろ館 (くつ)

現代遍路は何を履いているか

歩き遍路の装備として、靴選びは気になることの一つでしょう。足に合わない靴で歩くと、特定の部位が擦り切れたり、マメで苦しむことになります。僕が出会った歩き遍路の例では、軽登山靴またはスニーカを履いて歩いている人が多いようです。その他、サンダル、ゴムぞうり、果ては、伝統的な地下足袋やわらじの人もあるようです。

登山靴
登山靴

スニーカーと脚絆
スニーカーと脚絆

わらじ
わらじ

軽登山靴がいいか、スニーカがいいかは意見の分かれるところです。

歩き遍路は極力、遍路道のコースをとったとしても、距離にして全体の9割は舗装道路を歩くことになります。したがって、軽登山靴よりも、底の柔らかいスニーカの方が足への負担が少ないと思われます。

一方、遍路ころがしと呼ばれるような山道を歩くときには、底と足首のしっかりした軽登山靴の方が適していると考えられます。また、1カ月以上も5〜10キロの荷物を背負って歩くと、スニーカは底がすり減ってしまい、履けなくなるという意見もあります。

理想の履物はない

初めスニーカで歩き始めたけれども、1週間目で足がマメだらけになり、「荷物が重いとスニーカでは無理だ」と考えて、家からトレッキングシューズを送ってもらって履き替えた人もありました。

1999年夏に2度目の歩き遍路をされた安田さんは、歩け歩け協会推薦の靴と、厚手の靴下を用意して歩いたが、雨の日はどうしても足がふやけてマメができたと言います。晴天時の舗装道路では、ゴム草履とスポーツソックスの併用が非常に有効だったそうです。草履は2cm厚ぐらいのゴム緒、足裏の当たりのデコボコの少ないものがよいとのことです。

[2001.4.22 追記]
また、足の大きさや形は千差万別です。特注で自分の足に最適な靴を作れる人は少ないでしょう。既製品の靴でも、ある程度までは補正がきくようです。マギーの田尾さんからのアドバイスを「遍路百科・靴の補正」に紹介します。

僕の場合

僕の靴
僕の靴

両方を体験して比較したものがないので、どちらとも決められませんが、絶対こうでなければならないというほど強固な意見もありません。大体、「ああだ、こうだ」と理想の装備を追求して、最先端の装備をバチッと構えて行くというのはあまり「お遍路的」でないような気もします。僕としては、ともかく自分が使った靴を紹介しておきます。

「キャラバンシューズ」というのはもう死語となっているそうですが、僕の靴はキャラバン社のグランドキングというシリーズです。最近は、トレッキングシューズとかウォーキングシューズという商品カテゴリがあって、登山靴からスニーカまでの間の様々なバリエーションの製品が各社から販売されています。僕が使った靴も、このカテゴリに属するようです。靴底はゴム製で、弾力性があります。僕は、さらにかかとの部分が厚くなった弾力素材の中敷きを入れています。

岩場用に靴底に鉄心の入った登山靴がありますが、そういうカチカチの靴はお遍路には適さないと思います。

なお、どんな靴の場合でも、実際に使う靴下を履いて靴の中で足の指が動かせる程度に大きさの余裕が必要です。靴の種類よりも、靴のサイズと靴下の種類の方が大事かもしれません。

[2001.9.24 追記]

2000年9月の区切り打ちからは、「靴のマギー」オリジナルの「エコーウォーカー」を履いています。ゴアテックスを使っているため防水と通気性抜群だし、白色なので遍路スタイルに違和感がありません。ただ皮製のため、履いて最初の数日は靴ずれが出来たりしました。足になじんだ今では、夏に歩いてもマメができることもなく、雨天でも靴の中は乾燥しており、上記の「キャラバン」より良好です。

もっとも、靴と靴下と足の相性というのは一般論では割り切れないところがあります。遍路ひとり歩き:2001夏で出会った女性は、「3月に歩いたときはマメ対策で苦労したのに、8月には同一の靴と靴下なのに、全くマメができなかった」と言います。マメ学に関しては未だ解明されざる事実が隠れているように思われます。


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