| 野宿 (のじゅく) |
歩き遍路の中でも、野宿遍路はより苦難の程度が高いので、「修行」目的で挑戦される方があります。また、宿泊費用の節約を目的にする方もあります。空海が四国を巡ったときには、当然野宿が中心だったはずですから、遍路を「弘法大師の足跡をたどる修行の旅」と意味づけるならば、宿に泊まるなどとんでもなく贅沢なことであり、野宿が当たり前ということになるのでしょう。
「宿が満員でやむを得ず一晩野宿」という程度ならともかく、野宿を基本にした歩き遍路には
- 宿に泊まるのに比べて2倍以上の荷物を背負う
- 入浴や洗濯がままならない
- 毎晩、寝場所探しをしなくてはならない
といった様々な困難が伴います。その一方、宿泊施設の地理的な条件に縛られないで自由な行程で歩くことができるという利点があります。
ところで、僕自身は野宿は経験がありません。経験者の方々のお話からすると、場所探しに始まって、入浴や洗濯などそれぞれ苦心されているようです。そこで、1999年6月から7月にかけて、「夏の野宿遍路」について「談話室」に頂いたアドバイスをまとめてみました。詳しくは元の発言を読んでみて下さい。
99/07/09 のりこさん99/07/05 閑林堂さん
- 寝袋代わりになる「サバイバルシート」という薄い銀色のシート
- 神社などで野宿させてもらう時は、近所の民家の方に一声かけて
99/06/18 閑林堂さん
- 夏場に寝袋は不要として、ゴアテックスの寝袋カバーか寝袋用のインナーシーツのいずれかを持っていると心強い
- 野宿ポイントや銭湯・コインランドリー情報など盛り沢山なへんろみち保存協力会の『四国遍路ひとり歩き同行二人』が必須。
- 自炊となると、団子汁が一番楽。小麦粉と味噌は必需品
99/06/13 瑛行さん
- 野宿は疲労が溜り易く足の骨や膝へのダメージは蓄積されていく
- 可能なら6野1宿のように宿と組み合わせていくのが賢明
- 水道の有るところなら何処でも出来るので、身体は毎日こまめに濡れタオルで洗う
- 夏場の野宿は蚊取り線香は必需品
- 寝袋は不要。薄手で綿のシーツがあればグッド
- 耳せんは絶対に必要
- お風呂は銭湯ですがなかなかない。地図にあってもかなりつぶれてる
- 着替えは毎日、身体を拭くのは2日に1回、お風呂は5日に1回ぐらいでした。
- 一番の問題は野宿の場所探し。なるべく明るいうちに決めた方がいい
インターネット上で読める下記の体験記も参考になります。
- 草月庵〜ちしょのホームページ
岐阜県在住のChisho.Tさん(1974年生まれ)が、1998年の3月に高野山での修行を終えた後すぐに四国へと旅立ち、48日間をかけ、徒歩、野宿を基本にお参りした日記です。
- お遍路日記
1972年生まれのkouteiさんが、1999年3月17日から4月末まで続けた野宿遍路です。
- 野宿放浪日記
2001年(平成13年)3年半勤めた会社を辞めた著者が10月14日から札所ごとに絵葉書を描きながら、12月26日に結願するまでの野宿遍路の日記です。
「野宿」といっても、いわゆる「野営」ではなく、お寺や神社のお堂、バス停小屋、駅や倉庫の軒下などを借りて夜を明かすことも多いと思われます。建物を利用する場合には、管理者(不明な場合は少なくとも近隣の住民の方)に了解を得ておくことが必要です。
また、月刊誌「四国へんろ」(廃刊)によれば「各霊場では、過去何度となくお遍路さんが通夜しているお堂からの出火で、堂塔伽藍を焼失」しているとのことです。焚き火、自炊、喫煙は避けるべきでしょう。
野宿について慎重な意見も紹介しておきましょう。歩き遍路を2巡半した俳優の萩原健一さんは
「野宿だけはいけません。疲れが翌日に残るし、その結果、他人に迷惑をかけることになる」とまで言っています。
もちろん、アウトドアの経験、体力、年齢、性別などによって条件は異なるのは確かです。ただ、遍路中の野宿というのは、キャンプ場のように設備の整った場所で寝るわけではないし、何日も続くのだということは十分認識しておくべきです。上記の石原瑛行さんのように、前もって一晩予行演習をしてみるというのもよいかもしれません。
あまりこだわるのでなければ、閑林堂さんも書かれているように、何日か野宿、ときどき宿に泊まって体調を整えゆっくり洗濯・入浴、というパターンが現実的です。
過去、野宿をまじえた歩き遍路の女性もありましたが、ここ数年、遍路の状況も変化しています。現時点では、女性の野宿はお勧めできません。人を信じ易いという遍路の特質を利用して、女性の歩き遍路を狙った犯罪が実際に発生しています。また、遍路の一部には、遍路姿や僧の姿をしていても信用してはならない人物もあります。
野宿と言っても、様々な状況がありますので一概に否定するのは乱暴かも知れませんが、「お四国だから安全が保証されているということはない。逆にそこに付け込む者もある」ということを認識したうえで、行動していただきたいと思います。
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