掬水へんろ館遍路日記第4期翌日談話室
掬水へんろ館四国遍路ひとり歩き 第4期くしまひろし

第0日(4月28日) 再び、高知へ

僕の会社では、メーデーの5月1日が休日なので、今年のゴールデンウィークは4月30日に年休をとると4月29日から5月5日まで7連休になる。もう1日、5月6日も年休をとることにして、今回の遍路区切り打ちは4月29日から5月6日までの8日間とした。

遍路の前日、4月28日朝、いつもの出勤と同じく背広と革靴で、しかし少しだけ早く家を出た。東海道線の超満員の車両の中では、電車の床に置いた大きなザックを右手で支え、左手に紙袋と金剛杖を持って、紙袋の中の菅笠がつぶれないように、他人の迷惑も省みず、必死にふんばった。

今晩、東京駅を19時40分に発車する高知行き夜行バスで、遍路に出るのだ。しかし、定時の17時半まで仕事をしたあと自宅に戻って着替える時間はない。そこで、サラリーマンから遍路へとスムーズに変身できるように段取りを考えた。まず、昨日の出勤のときに、キャラバンシューズと、遍路用の装束や、四国への往復に着る服を会社に持ち込んである。そして、今朝、その他の装備を持って出勤中なのである。

電車が東京駅に着くと、大型のコインロッカーにザックと笠を入れる。杖が入るような大きなロッカーはないので、会社に持って行った。杖を裸で会社に持っていくのはちょっと恥ずかしい気がしたので、東急ハンズで木材を買ったとき入れてくれた長い包装袋に入れてある。

電話が鳴るたびに「4月30日や5月6日に急な仕事が入りませんように」と念じながらも、何となくウキウキしながら1日仕事をする。僕が今晩から遍路に出ることを知っている同僚たちも「何だか、顔が晴々してますね」などと冷やかす。一応の区切りをつけ、机の上を片づけて席を立ったのは、18時過ぎだった。キャラバンシューズに履き替え、服を着替えて東京駅に向かった。

夜行バスで高知に行くのは、前回の遍路に続いて2度目である。駅のコンビニで弁当を買い、「銀の鈴」の待合所で簡素な夕食とした。

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