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掬水へんろ館四国遍路ひとり歩き 2004年春
道しるべ

2004年5月、3巡目の区切り打ちを始めた。夜行バスで四国まで往復し、8日間で別格1番から3番までを含めて徳島県内の札所を回った。2巡目以降は、遍路日記の類をあまり書かないようにしてきたが、今回は1年半ぶりの遍路でもあり、その新鮮な印象が再び僕を遍路日記に向かわせたようだ。

3巡目のコンセプトは、

  • 八十八ヶ所に加えて、別格20霊場を回る
  • なるべく過去に歩いたことのない道を歩く
  • なるべく過去に泊まったことのない宿に泊まる

この3点である。円熟の域に到達すれば、まったく同じ道を、果てしなく同じように巡り、あるいは定宿を辿っていくということが安らぎなのかも知れない。今の僕のように、何かしら新規性を求めるというのは、まだ若い(幼い?)ということの証拠なのだろう。

何度も遍路をしたくなるのを「お四国病」と呼ぶ。「病」と言いながら決してネガティブではない。しかし、ひたすら同じ体験をなぞり、過去の思い出と引き比べて喜んだり嘆いたりするだけのマンネリに堕するのではないか──という危惧を感じてはいた。実は、決してそうではないらしいと思えるようになった旅でもあった。

初めから読む 

  1. コインロッカー
  2. 右道よし 別格1番大山寺
  3. 白装束
  4. 納経
  5. 赤い糸
  6. 予見
  7. 顧客満足度 別格2番童学寺
  8. 霊験
  9. セオリー
  10. 通行止め 別格3番慈眼寺
  11. さかもと
  12. ふだらく峠越え
  13. お気をつけて
  14. あとがき




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