掬水へんろ館遍路日記第2期翌日談話室
掬水へんろ館四国遍路ひとり歩き 第2期くしまひろし

第0日(7月26日) 空路徳島へ! のはずだったが…

早起きは三文の得

今回は鯖大師に宿泊しようと決めていた。それは何故かというと、僕の第1期の紀行文を参考に歩き遍路を敢行された大理さんから「鯖大師の加持祈祷は素晴らしい」というお便りを頂いていたからだ。

前回終点となった日和佐の薬王寺から鯖大師まで約20キロあるので、遅くともお昼までには日和佐を出発する必要がある。JR牟岐線は運転本数が少なく、結局羽田6:35発のJASの徳島行き第一便に乗らないと昼前には日和佐に着かない。早起きはつらいが、どうせ夏の遍路は早起きして日が高くなる前に距離を稼がなくてはならないから日の出とともに出発だ。それに6時台の便を前日までに予約すると早起き割引(何と4割引)が使える。これはおいしい。

思わぬ障害 - 台風9号

夏休みの日程を同僚などと調整し、この週に決めてから、週間天気予報などで四国の天候を気にしていた。おおむね晴れの予報で、暑いのは覚悟のうえであるから「しめしめ」と思っていたら、ある日、「台風9号」などというものが出現した。あれよあれよという間に四国に向けて接近し、さらには段々速度を遅くして、ちょうど出発予定の26日に四国地方を直撃する事態となった。出発前夜からテレビの台風情報に注目し、当日朝もJASの運航状況テレホンサービスに電話してみるが、前日の到着便のことばかりで、運航状況について全く情報がない。

とにかく、4:40に港南区の自宅を出発し早朝の住宅街を最寄りの京急上大岡駅まで約15分歩く。ザックを背負い、菅笠を左手に、杖を右手に。鈴をならしながら杖を着いて歩いていくと去年の5月に徳島県内を歩いたときのことが思い出され、「いよいよ、またお大師さんに呼ばれるのだ」と気持ちが高ぶる。

ねばる日本エアシステム

横浜駅のYCAT(横浜エアターミナル)でバスに乗換え、羽田に着いたのが6時である。やっぱり! 電光表示盤には「搭乗手続き中止。天候調査中」となっている。館内アナウンスでは「天候調査の結果は6時15分ごろお知らせします」といっていたのに15分になったら今度は「ご案内は6時33分ごろとなります」と延びた。ちなみに全日空などは四国方面行きはほとんど欠航が決まっている。直前まで待たせるということは、望みがあるということだろうか。

チェックインカウンタの前でうろうろしていると、僕と同じようにザックを背負い、菅笠と杖をもった男性が、電光表示盤を見上げている。

「徳島行きですか?」と声をかけてみる。持物からお互いに遍路であることは一目瞭然だ。春に22番まで歩き、今回は僕と同じように日和佐から回る予定とのこと。(注:区切り打ちの場合、一般には、前回終点となった札所に再度お参りして再開するのが普通)

ようやく、6時半過ぎになってJAS321便の欠航が決まった。さらに、新幹線は新大阪から先が運休、瀬戸大橋も通行止めとのこと。結局、地上を行っても四国入りすることは困難ということだ。それでも、この種の情報は不正確なことが多いし、近くまで行っていれば、天候の状況次第で意外に今晩中に日和佐まで行けるかもしれない。それにしても情報が少ない。

お互い次の行動を決断するには至らないまま、名前だけ名乗って別れた。「コクブさん」であった。

ねばる僕

台風は未だ四国に到達していない。四国発の便の中には無事出発したものもあるようだ。JASの第2便JAS323便は8:55発予定であるが、この様子だと可能性はある。これも電光表示盤では「搭乗手続き中止、天候調査中」である。これが無事飛んだら、徳島空港から徳島駅にタクシーを飛ばせば当初のスケジュールが実現可能かもしれない。もっとも暴風雨が強まる中を歩けるのかという問題はあるが…。とにかく航空券を買い直し(僕の第1便の航空券は例の早起き割引きであるから欠航による払戻はできても変更はできない)、2時間強のことであるから待ってみることにする。

3階の出発ロビーは、運航の乱れもあって大変混雑している。2階の到着ロビーにおりて仮眠する。ここは常に閑散としているので、休憩するには持ってこいである。

断念

結局、8時15分頃になって本便も欠航が決まった。ここに至り、出発を1日ずらすことを決意する。明日の第1便を予約(もちろん早起き割引適用)して、むなしく帰宅の途につく。10時自宅着。

本日の歩行7264歩・約5キロ(笑)

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