掬水へんろ館遍路日記第1期前日談話室メール
掬水へんろ館四国遍路ひとり歩き 第1期くしまひろし

あとがき

足首の腫れが完全に引くには一ヵ月ぐらいかかった。幸い後遺症はないようだ。

リフレッシュ休暇というと、海外旅行が定番なのだが、「四国でお遍路さんをしてきた」というと変な顔をされる。正確に言えば、まだ八十八ヵ所のごく一部、徳島県を歩いただけだ。八十八ヵ所の中で最初の徳島県は「発心の道場」と呼ばれるだけあって、比較的札所の間隔が短く、難易度は低い。だから、「遍路をした」などというのはおこがましい。「遍路に着手した」というのが正確だ。

FAQのトップは「どうして遍路をしようと思ったか」という問いである。あまり明快な答えはない。

これに、たまたまリフレッシュ休暇の時期になったということを加えても、わざわざしんどいことをする動機として十分条件にはならないだろう。

僕は、これまで、エスペラントを勉強し、百人一首を練習し、ベランダで稲を育ててきた。どれも確固たる思想信条に基づくものではないし、宗教的な理由があるわけでもない。ただ、そこに僕のパーソナリティがあることは確かだし、その活動やそこにいる人々から多くのことを学んできたことも確かだ。こういう遊びには「趣味」というラベルを貼ってしまうと簡単だ。そうだ!「四国遍路」は僕の新しい趣味だということにしておこう。

僕の遍路は、宗教的な理由によるものではなく、遍路という伝統的なシステムを利用した私的な旅行に過ぎない。しかし、人間とか、文化とか、日本人というものを考える入口に触れたような気はする。もっと深く味わってみたいと思っている。以上の紀行文は信心のある方から見ると失礼な内容を含んでいるかもしれないが、お許し願いたい。また、遍路や仏教についても付け焼き刃の知識しかないので、理解の誤っている点などがあればご指摘願いたいと思う。(96.8.6)

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