掬水へんろ館遍路日記第1期前日翌日談話室メール
掬水へんろ館四国遍路ひとり歩き 第1期くしまひろし

第6日(5/16)20番〜21番

金剛杖の効能

6:30 出発。このへんの小学生もよくあいさつしてくれる。県道を延々と歩く。

金剛杖は山道の登りや下りで役立つのは当然だが、平坦な舗装道路を歩くときも役にたつことが分かってきた。平坦な舗装道路を長く歩いているとどうしてもめげてくる。そうすると、金剛杖で地面を打つ手に力が入る。足取りに合わせて、ばん、ばん、と杖を路面にたたきつけながら歩くと何となく元気が出てくる。ばん、ばん、こんちくしょう、こんちくしょう…

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鶴林寺へ第20番 鶴林寺
Kさんの金剛杖の音が聞こえないと何だか寂しい。Kさんの杖は自作杖である。友達から樫の枝を譲ってもらって、市販の金具を取り付けたという特製の先太のすごい杖だった。一度持たせてもらったが大変重い。Kさんは、四国は初めてだが、これまでも色々なお寺に巡拝されているようで、「この杖も初めはもっと長かった。20センチくらい減ったかな」という。僕なんかとは年季が違うのだ。あれで地面を打ちながら歩いたらもっと元気が出るかもしれない。

8:40 第20番鶴林寺の登り口(生名バス停)に着く。昼食用のパンを買ってから、ゆっくり登る。急な坂道では、金剛杖を両足の間について両手で杖をぐっと押すと体が持ち上がる。弘法大師様に感謝! それにしても暑い。

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10:30 標高570mの鶴林寺に到着。参拝を済ませ、ベンチで昼食をとっているとお寺の人が、「水がいるならあそこの蛇口で自由にどうぞ。お湯が必要なら言ってもらえば…」と気をつかってくれる。これから、また山を降り、那賀川を渡って、大龍寺に登る3時間の行程となるので、水筒を満タンにした。

右足首を捻挫!

11:25 鶴林寺を出発してすぐ、急な下りにかかったところで重大アクシデント発生。階段で石を踏んで転倒してしまった。どうも足首を捻挫したような気がする。10分くらいそのまま階段に腰掛けて休む。痛みもおさまり歩けるようだが、こういうときはたいてい後から腫れてくる。明日は打切りかもしれない。無念だ。

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竹林を行く那賀川を渡る
気を取り直して金剛杖で下りの衝撃を和らげながら、そろそろと山を下る。陽光の差し込む竹林や広々とした那賀川の眺めを楽しみながら、再び登りに転じる。南側の尾根を登るので、日陰が少なく暑い。

14:30 標高600mの第21番太龍寺着。参拝客は少なく閑散としている。ここはロープウェイが通じているが、ロープウェイが到着しても降りてくる客は少ない。 時間があるので南舎心ヶ獄にも行って見る。この絶壁の上で弘法大師が修行したとのことである。近くまでは行けるが、頂上の弘法大師像のある岩の周囲には鎖が張って、入れないようになっている。遠くから見る方が面白い。

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第21番 太龍寺南舎心への道からロープウェイを見る南舎心ヶ獄

再会

帰りは、登ってきた道から分かれる急な坂を、坂口屋に向けて降りる。車道の終点にある茶店は閉店していた。駐車場のところで、車道が一方通行の登り道と降り道に別れている。どちらでも行けそうなので「降り道」と示された方の道をどんどん下りていくと、一般の林道に出るところで登り道と降り道が合流している。その合流店で、なんと登り道の方からKさんがおりてくるではないか。もう会えないと思っていたので、思わず二人で「おお」と感激してしまった。お互い、きのうと今日の体験を語り合いながら歩く。Kさんは恩山寺近くの民宿ちばで泊まったそうだ。今晩は僕と同じ坂口屋を予約してあるという。

太龍寺近くの宿は坂口屋と竜山荘の2軒だが、下りていくと先に竜山荘がある。「湯元」と書いてあるのでこっちにしておけばよかったかと二人で残念がった。

坂口屋

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坂口屋
坂口屋はそんなに新しくはないが感じのいい宿である。やはり遍路専門で、玄関近くで色々な巡拝用品も販売している。風呂は泡風呂である。大きな浴槽の底から激しく吹き出る泡に身を任せていると疲れがほぐれるような気がする。

食事は大広間でパス団体の人々と一緒に食べる。なかなか豪華である。 客室は2階、食事や風呂は1階だが、階段を下りるのがつらい。Kさんもおりにくそうにしている。入浴後、やはり足首が腫れてきた。捻挫だ。近くに薬局などない。宿の人にきくと、湿布薬をくれた。助かった。

ところで、ここも回転式チャンネルのテレビである。ちょうどNHKで「レトロテレビ」の話をやっていた。古い白黒テレビの中身をカラーテレビの部品を使って改造し、使えるようにして返す商売が結構繁盛しているそうだ。初めはお年寄りのテレビを修理していたのが、最近は「レトロテレビ」として意外な人気とか。ただし、「レトロテレビ」の販売はしておらず、元となる古いテレビを持ち込むことが条件だとのこと。

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