掬水へんろ館遍路日記第1期前日翌日談話室メール
掬水へんろ館四国遍路ひとり歩き 第1期くしまひろし

第5日(5/15)14番〜19番

Kさんと別れる

朝、起きると、タオルと靴下が乾いていない。靴下はもう一足あるので平気。半乾きのままザックの留め紐にはさんでおく。電気ストーブをつけてタオルを乾かす。ちょっと油断したすきに焦げてしまった。危ない、危ない、火事になったら大変。

ゆうべ手当てした足の絆創膏をはがしてみると、消毒薬の赤い色が染みついているものの、しっかり固まっている。押しても痛くない。大成功だ。

朝食も本館のスナックのようなところで食べる。

旅館の奥さん(?)の話

お客さんも歩きですか。最近また増えてきましたね。やっぱり、定年退職した方とか多いけど、他はうんと若くて学生。納経所はね、昔は7時まで開いていたんだけど今は5時で閉まっちゃう。今からの季節なんか、夕方でも明るいから、納経所が開いていれば、もっと先まで歩けるんだけどね。お坊さんも9時5時でサラリーマン化してるということですよ。

Kさんは今日はできれば18番まで行くが、多分途中の徳島市内で泊まるという。僕は19番まで行くつもりなので、もうこれでお別れである。

次々に参拝

6:53出発。 水田の中に点在する民家の間を抜けていくとみそ汁のにおいがする。

7:25 第14番常楽寺
7:50 第15番国分寺
8:30 第16番観音寺

立て続けに回る。

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第14番 常楽寺 第15番 国分寺 第16番 観音寺

16番の納経所ではジャラジャラとパチンコ屋の様な音がしている。硬貨計数皿(本当の名前は知らない。銀行にあるような、お盆の硬貨の大きさの窪みが一杯並んでいて、そのうえに硬貨を注いでお盆をゆすると硬貨が一個ずつ窪みにおさまるもの)でしきりに硬貨を数えているのだ。百円玉は納経料、十円玉はお賽銭であろう。きのうの売上(?)を整理しているのであろう。

次の第17番井戸寺は少し離れている。途中の薬局で救急絆創膏を買うついでに道を尋ねた。後からお客が2〜3人入ってきて待っているが、店の人が僕のために詳しい地図を書いて教えてくれるので恐縮してしまう。この辺の人は本当にみんな親切だ。

コンビニがあったのでタオルを買おうとした。店員が外国人のようで「タオル」が通じない。何度か言いなおして「ああ、タウル」と通じる。店の主人に聞きにいくが結局おいてないことが分かった。

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第17番 井戸寺
10:00 第17番井戸寺に到着。ベンチにすわっている老人と話す。

ベンチの老人の話

歩いていくのか。どのコースがいいかって、国道をいくのが簡単だよ。裏道色々あるけど、説明しても分かりにくいし、迷ったら大変だからな。

井戸寺を出るとき立江寺に泊まれないか電話してみた。

立江寺の話

お泊めできます。但し、確実に5時までに入って下さい。え?歩きですか。今どこ?。井戸寺からじゃあ無理でしょう。きょうは17番ぐらいまでにしておいたら。

(だから今その17番の井戸寺だって言ってるでしょ。)

恩山寺からさらに1時間ぐらいかかりますよ。恩山時に3時半までに着けば大丈夫だろうけど。……この間の歩きの人も来るって言って来なかったしね。無理じゃないですか?

「この間の人」が来なかったというのと、僕が間に合うかどうかというのは関係ないと思うけど、立江寺近くに一軒だけある民宿ちとせやに泊まることにする。ちとせやは夕食はつかないとのこと。

徳島市内を通り抜ける

保存会の地図を見て、なるべく交通の少なそうなコースを選んだが、いずれにしても徳島市内の市街地を通る。学校とかレストランがあるので人も多い。市外の県道や国道と違ってきちんとした歩道があるので歩きやすい。

大きな生地問屋みたいな店があった。看板には「タオル」の文字もある。1枚95円で購入。

2時間ほど歩いて、ちょうどお昼頃、徳島市内のラーメン屋で昼食。トイレを借りる。注文してから、ラーメンなんか食べたらのどが渇くだろうと気がついたが仕方がない。

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スペースシャトル型の喫茶店 孤独な国道
徳島市内の大きな交差点付近で中年のご婦人に呼び止められお賽銭を受けた。こんな都会の真ん中でお接待を受けるとは予想していなかったのでびっくりする。市街地を抜けて南下していくと、街のはずれにはスペースシャトル型の喫茶店がある。その先は殺伐とした国道を行く。

店もない。
体を休める木陰もない。
誰とも会わない。
車が脇を通り抜けるだけである。ただ歩く。
きのうは地元の人も歩いている道だったが、今日は孤独である。

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第18番 恩山寺

15:10 恩山寺。
16:30 立江寺。

立江寺の近くまで来たが、「立江寺駐車場入口」の案内しかない。工事中なので参拝の車はこちらへと書いてある。歩行者はどうしたらいいの? 通りがかりの人にきいてやっと参道がわかる。境内は大型トラックが入って立派な建物を新築中である。こんなうるさそうなところに泊まらなくてよかった。帰り道、車は入っていけないはずの参道一杯の幅を占領して貸切りバスが堂々と2台続いて進行してくる。

ちとせや

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ちとせやの客室
ちとせやは、民宿らしい民宿である。要するに一般の民家と変わりない。入浴後、洗濯をしながらダイニングキッチンで奥さんとおしゃべりをする。

ちとせやのおかみさんの話

この民宿は戦時中からやっている。昔は別館もあって30人くらい泊められた。最盛期はこの辺に合わせて10軒くらい旅館があった。自分が病気をしてあまり働けなくなったので、母屋の2階の3部屋だけ、それも夕食なしでやっている。朝食だけなら簡単だから…。息子・娘はどちらも学校の先生になって働いているので旅館の仕事は手伝えない。私の体が動かなくなったら閉めるしかないね。あ、お客さん。部屋に戻るとき、このトイレットペーパーを2階のトイレに持っていってくれる?

近くの喫茶店兼スナック風の「赤い屋根」で夕食。

部屋は広々とした6畳である。3方が窓という豪華な部屋だ。残りの面のふすまを開けると隣の客室だ。テレビは珍しい回転式チャンネルであるがちゃんと写る。今日は、さらにマメが増えた。右に3個、左に1個できている。昨日手当てしたところは問題ないので、手当ての方法はは正しかったと判断できる。同じ方法で1個ずつ手当てしていく。人生を過ごす上ですごく大事な知恵を身に付けたような満足感を味わった。

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