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掬水へんろ館[読者投稿] 四國遍路のすすめ

安田寛明四國遍路のすすめ (安田一雄,2000年)
税込価格 2200円, ISBN

 この著は、僧籍である著者が明治中頃以降7回行なった四国遍路の日記をもとに編集された『四國遍路のすすめ』(初版1931(昭和6)年)を孫にあたる安田一雄さんが復刻して出版されたものです。
 この著では、四国遍路に出ようとする人に出発前に用意するものや遍路の心構え、作法、遍路の道中や宿で注意すべきことなど物心両面にわたって丁寧、詳細に案内し、不安や心配を持ちながら遍路に出る人が安心して遍路できるように懇切に説明を加えています。さらに、札所間の距離や道の状態、乗り物の便、宿の有無などの道案内とともに途中で気をつけることも記しています。ガイドブックといえばガイドブックなのでしょうが、現在多く出ているガイドブックとは異なり、『四國遍路のすすめ』という題名の通り、遍路に出ようという人は勿論、遍路に興味、関心のない人にも四国遍路に出てもらいたいという著者の熱い思いが本著のいたるところにあふれている著です。
 携行品については50品目余をあげています。「説明を簡単に」と記しながらも、著者の性格、熱き思いからでしょうか、細かな説明を加えています。笠、金剛杖、納経帳など遍路に必要な品も多くありますが、茶碗や箸などの日用品も入っています。当時遍路が泊まる宿は木賃宿であるのでこれらの品も必需品だったのでしょう。その他今では考えられないようなものも入っており、当時の宿事情、旅事情の一端が知られます。旅費については、必要な旅費すべてを携行するのは心配であり、必要な折に引き出せる郵便局利用をすすめています。郵便局は現在も歩き遍路の方が多く利用していますが、著者のこのすすめは現在にも受け継がれているようです。著者は言及していませんが、郵便局の利用の背景には郵便局留め置きで家、友人からの便りを受け取ることもあったのかもしれません。種田山頭火の日記には郵便局で留め置き郵便を受け取ったということが散見されます。
 本著の前半3分の2は四国遍路にあてられていますが、後半の3分の1は知多八十八ヶ所の案内になっています。四国以外にも各地にある八十八ヶ所の1つを知ることができます。
 なお、この復刻本はパソコンを利用して原稿を作成されており、パソコンを利用した時によく見られる誤植が何ヶ所か出てきますが、復刻版の価値を損ねるものではありません。逆に復刻者の労苦がたいへんなものであったことがしのばれます。かつての遍路を知るのにたいへんありがたい著で、復刻者への感謝の念がたえません。また、復刻者は現在第一版をもとに第二版を準備されています。

投稿者: 北摂山系お伴の旅人

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