掬水へんろ館遍路の本談話室
掬水へんろ館四国遍路のはじめ方
四国遍路のはじめ方串間洋四国遍路のはじめ方 (明日香出版社,2003年)
本体価格 1400円, ISBN4-7569-0685-0

浅学をも省みず、僕が書いた本です。自分で自分の本を紹介するというのも恥ずかしいものですが、酷評されたり点数つけられたりしないうちに、言いたいことを書いておくことにします。

出版元の明日香出版社が出しているのは、ビジネス書や語学書が中心です。執筆の打診があったとき「なぜ遍路の本なのか」と不思議でした。趣旨を伺うと自己啓発という位置づけとのこと。同じ出版社からCDつきの「声に出して読む般若心経」も出ています。

すでに、諸先輩の優れた類書が多数あるのに、敢えて引き受けたのは、「ビジネスマン向けに書かれた遍路ガイドを作りたい」という編集者の思いに共感するところがあったからです。

書店ではビジネス書の棚に置かれるとのことなので、「仕事帰りのサラリーマンが、ふと手にとって、次の連休に四国を歩いてみたりしてくれたらうれしい」と思いました。私の歩き遍路の原点は「自己投資」であり、結果としてサラリーマン人生に一つの軸を加えたことは確かなので、それを伝える場として、宗教書でも旅行書でもなくビジネス書の売り場というのは実にふさわしいと思います。

僕は宗教の専門家ではないし、歩き遍路も区切り打ちを2巡しただけですから、冒頭に書いた「浅学」というのは謙遜ではありません。僕に書けることは、「歩き遍路を中心とした四国遍路の実践」の入り口にとどまり、それは、まさにこの「掬水へんろ館」の狙いそのものです。実際に歩き遍路でなにを体験するのか、人生における意味はなにかといったようなことまで語る資格があるとは思いません。したがって、書名は「四国遍路のはじめ方」。「仕方」、「やり方」ではなく「はじめ方」。出版社の社長さんがつけてくださったタイトルですが、歩き遍路の体験によって、人生におけるひとつの要素が新しく加わる、そして何度も歩きたくなる──という僕の気持ちによく合っています。

本書の内容は、僕自身の遍路体験をサンプルとして提示し、持ち物や巡拝用品の解説というかたちをとりながら、遍路の自由と束縛について語ったつもりです。 日ごろ、お葬式ぐらいしか仏教とは縁がないが、仕事の合間を盗んで気楽に歩き遍路を楽しんでみたいという層を読者として想定しています。つまり、僕のような人間ということです。

これまで掬水へんろ館では、体験交流とともに、僕自身の考えを一人称で展開してきました。しかし、最近は、ネットが手軽に利用できるようになり常時接続も普及した割には、画面上の文章をなかなかじっくり読んではいただけないようです。自分の知りたいことを「談話室」で相談して済ませるだけの人も増えてきました。ホームページ上での情報提供の限界を感じています。そこで、紙媒体にチャレンジしてみるのも悪くないなと思いました。

本書は、掬水へんろ館の書籍版、そして縦書き「掬水へんろ館」ともいえるのものです。僕は文章をまとめるだけで精一杯でしたが、編集者の方は僕が四国で撮りためた思い出のスナップをうまく配置してくださったので、柔らか味のある本になったと思います。当サイトも永久に続くとは限りませんが、本なら残るでしょう。記念に(?)1冊、お手元においてくださればうれしいです。

くしまひろし

〔広 告〕
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