掬水へんろ館遍路の本談話室
掬水へんろ館お四国遍路 法(のり)を超えてゆく

法を超えてゆく 石綿美代子お四国遍路 法(のり)を超えてゆく』 (日本図書刊行会,1998年)
本体価格 1500円, ISBN4-89039-958-5

著者は、昭和13年生まれの専業主婦。1996年11月4日から35日間の遍路の記録です。夫と二人で遍路に出る積もりだったのに、結局一人で回ることになり、車のお接待やバスを取り混ぜての遍路行です。初めのうちは、山中で日が暮れかかったり危なっかしい目にも会いますが、だんだんと逞しくなっていく様子が伺われます。

著者は普段は本を読まない人で、10年に1冊読めばいいそうですが、本書は、夫や子供たちのアドバイスによって何度も書き直しながら、やっと完成させたものです。決して書き慣れた文体ではありませんが、短文を積み重ねた表現の中に、一つ一つの出来事を大事に受け止めていく著者の姿勢が感じられます。

個人的な事情はちょっと分かりにくい点がありますが、色々な悩み・苦しみの末の決断の遍路です。「ひとり主婦遍路」の典型的な例かもしれません。(2001年6月8日現在 版元品切)

くしまひろし

[四国遍路の本] 目次に戻るCopyright (C)1996-2001 くしまひろし