掬水へんろ館遍路の本談話室メール
掬水へんろ館四国を駆け抜けた男 道楽斎

四国を駆け抜けた男 道楽斎 阿部明子四国を駆け抜けた男 道楽斎 - 天保元年『四国遍路連々艸』より (新風舎,2006年)
本体価格 1700円, ISBN4-7974-8332-6

江戸時代の一庶民の遍路記を紹介した珍しい作品です。著者が、夫の生家で発見された古文書を元に、現代語に書き下しながら解説を加えてまとめたものです。

文政13年秋(1830年、12月に「天保」と改元)、現在の徳島県に住む一人の農民が友人の代参としてに、土佐と伊予の二国参りをしました。そして、その紀行文に、日ごろからたしなんでいた狂歌を交え、『四国遍路連々艸(つれづれぐさ)』という一巻の作品にまとめたのです。

木賃宿か民家に宿泊、食事は自炊という質素な旅ですが、普段は炊事などしたことがないと見えて、初日はご飯を3合も炊いてしまったりという失敗もあります。

地元の娘と軽口を交わしたり、同宿となった他の遍路との交流、宿の確保のかけひきなど、当時の遍路風景が生々しく伺えます。

道楽斎という人は、農民でありながら教養を持ち、遊び心と反骨の精神に富んでいたのでしょう。旅の日々に起こったことを巧みな風刺や語呂合わせでしゃれた歌に詠み込んでいます。

室戸に向かう佐喜浜にて、「行付(いきつい)て問へは(ここ)こそ先の濱 後も濱なりまだ先もはま」。ここはどこかと尋ねたら、「さきの浜」と答えられたが、ここまでも、またこの先も浜なのに…というわけです。

教養の浅い僕に分かるのはこの程度の歌ですが、古典の素養のある方は、作品中の数々の狂歌を堪能されるのではないでしょうか。

くしまひろし

〔広 告〕
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