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岩波写真文庫176 四国遍路
岩波写真文庫176 四国遍路 (岩波書店,1956年)

1番から88番までの札所の風景を中心に、縁起や道のり解説の簡単な記事を添えた写真集です。モノクロ64ページの薄い本で写真も小さく、現代の出版物の水準から見ると質素な本ですが、1956年(昭和31年)頃の四国遍路の風俗が伺える興味深い資料と言えます。

冒頭には、戦後現れた解釈といわれる「発心」「修行」「菩提」「涅槃」の4つの道場に触れられており、既に一般化していたことが分かります。一方、巡拝回数によって変わる納札の色についての解説では、白札で始めるのは今と同じですが、「24回以上は赤、30回以上は『無字の白札』(単なる白紙)」とあり、「5回で緑、8回で赤」などとされる現代の慣行とは異なります。「無字」については「これだけ来れば大師様もご存じというわけだろうか」と推測しています。

巡拝バスは15日間で一巡でき料金は16,800円、宿坊は1泊2食弁当つきで150円とあります。61番香園寺には500人が泊まれる宿坊があり、従業員は30人を抱えていたとのことで、大部屋で横幅3間(約5.5メートル)の布団に雑魚寝する遍路の姿が掲載されています。

札所や遍路道での当時の遍路姿も数多く映っており、今と同様の白装束もあれば白い頭巾をかぶっただけの姿も多く見られます。出征兵士の写真と骨壷を抱いて回る老夫婦の姿が時代を伝えています。

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