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社会学年誌 40 (1999/3)
早稲田社会学会社会学年誌 40 (1999/3) (早稲田社会学会,1999年)

この論文集には、特集論文として四国遍路をテーマにしたものが4編収録されています。

長田攻一氏の『現代「四国遍路」の巡り方とその社会学的考察』は、1996年4月〜5月に四国各県の札所の宿坊利用者を中心に実施したアンケート調査結果をもとに、遍路の巡り方(移動手段、通し/区切り、期間、起点・終点)のデータを分析し、相関関係や集団別の特徴を考察しています。

坂田正顕氏の『現代遍路主体の分化類型としての「徒歩遍路」と「車遍路」 現代遍路調査によるその実像』も、上記と同じ基礎データを用いながら、特に徒歩遍路と車遍路という側面に注目して、それぞれの行動パターンを分析し、遍路習俗がそれぞれに分化しつつあると結論づけています。

星野英紀氏の『四国遍路にニューエイジ? 現代歩き遍路の体験分析』は、宗教的動機に基づかない遍路者の増加に着目して、その実像に迫ろうとしています。いくつかの事例について詳しく検討を加え(そのうちの一人は実は僕)、当事者の自覚とは別に、宗教的なるものの新しい要素を見いだそうとしています。

関三雄氏の『四国遍路と移動メディアの多様化 遍路再考』は、伝統的な歩き遍路と、バスツアーやタクシー、自家用車などの手段による遍路とを比較し、移動手段の多様化は社会変化の結果として必然的なものであり、遍路体験の差異に対する本質的な要因とはならないと見ています。

現代遍路の実態に関する研究成果は少なく、遍路を実践している者として大変関心のもてる内容でした。それぞれの論文には詳細な参照文献リストが付してあり、これも貴重です。

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