広 告 |
石渡正佳 『産廃コネクション 』 (WAVE出版,2002年)
ISBN4-87290-142-8廃棄物行政に従事する現役の地方公務員が書いた鋭いノンフィクションとして好評の本です。
僕は仕事がらこの分野についても色々と勉強していますが、廃棄物行政の実質的な運用はすべて地方自治体に任されており、しかも法の想定する理想的な条件で取り締まるばかりでは事実として不法投棄のない社会が実現できるわけでないのが実態のようです。
著者は、不法投棄という犯罪行為を、ビジネスモデルとして分析しています。すなわち、適法な領域と、違法な領域が表裏一体となった業界構造のなかで、地理的条件、時間的条件、コスト、取締りなどの様々な制約のなかで、当事者が相互依存し、利益やコストダウンを求めてうごめく結果が、時折摘発される不法投棄という現象として表面化してくるというわけです。
したがって、このような不法投棄の撲滅は、単に取り締まりの強化だけでは達成できず、適正な廃棄物処理の経済性を確保する施策が必要だということです。
具体的な金額や物量まで示した分析の迫力は、著者ならはのものでしょう。職員が業務に直結したこうした本を実名が著すことを認知している堂本知事というのは大変すぐれたリーダーだと思います。
〔広 告〕 この本を買う→ | Amazon |
[読書日記] 目次に戻る | (C)1996-2003 くしまひろし |