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インターネットはからっぽの洞窟
クリフォード・ストール(倉骨彰訳)インターネットはからっぽの洞窟 (草思社,1997年)
ISBN4-7942-0743-3

コンピュータやインターネットの可能性を過信して、実世界とのつながりを喪失することに対して警鐘を鳴らしている本です。著者は天文学者であるとともに、ネットワークに侵入したハッカーをとらえた経験を持つコンピュータやネットワークの専門家でもあります。

インターネットで色々な情報が瞬時に入手できるようになった結果、研究者たちの間では、インターネットで入手できる情報だけで満足する傾向が出てきたと述べています。現存する人類文化のすべてを電子化することができない以上、これは危険なことだと指摘しています。また、メールやニュースで流れるテキストは文章表現として幼稚なものが多いとも指摘しています。

本書は短文を積み重ねて大変くだけた文体で書かれ、具体例がたくさん含まれていて、読みやすい本です。もっとも、ちょっと感情的で論理的な説得力には若干欠けるような気もします。

本書の中心たる上記の主張には僕も全く共感を覚えます。仕事上でも個人生活においても、毎日インターネットやパソコン通信にログインしないではいられない生活をしていながら、こういうことを考えているのは矛盾でもあります。でも、その中に浸っているからこそ、切実な違和感を感じているのも事実です。

ネットワーク社会における文化・文明が如何なる形をとるのかというのはまだよく見えませんが、この変化が非可逆的であることも確かです。

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