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巡礼 やすらぎの旅
森山透巡礼 やすらぎの旅 (PHP研究所,2004年)
ISBN4-569-63540-7

1946年生まれ、現役時代は日米を股にかけて仕事に没頭した著者は、リストラで職を失ったのをひとつの契機として四国遍路をしました。4回に分けた区切り打ちは、歩きを基本としつつもバスや鉄道を使ってこだわりのない旅です。初めは、白衣も金剛杖も持たない姿で歩き始めましたが、10番まで進んで白衣に身を包み、後半に入って46番で金剛杖を手にし、自分なりのお遍路の姿を作り上げていくことになります。

遍路という非日常の中で、海外での若き日々、仕事で充実した中で知り合った人々のこと、いつの間にか到達した自分の年齢、様々なことに思いを馳せていきますが、しだいに言葉と思いは空白となり、道と自然のみに関心が向いていきます。横峰寺、雪の降りしきる眼下に広がる凛とした「日本画の世界」は、クライマックスの一つと言えるのではないでしょうか。

香川県に入って、残す札所も10か寺となったころ、いきなり流れ出した涙、それこそ若き日の離婚、時代の流れを真っ向から受けたリストラ、あるいは幼き日の家庭環境…、そうした諸々の寂しさと悲しみが一挙にこみ上げたものなのでしょう。

〔広 告〕
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