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よのなか
藤原和博,宮台真司よのなか (筑摩書房,1998年)
ISBN4-480-86320-6

中学生・高校生向けの「社会科の教科書」という位置づけで書き起こされたものです。前半部分は、中学生のとき万引きで捕まったことがあるという藤原和博さんによる経済の仕組みの基本解説になっています。ビジネスの世界で行われる「接待」の意味や、ハンバーガーの商売から見えるお金やモノの流れを徹底的に具体例に即して解き明かし、SimCityを題材にして都市計画の根本を語ります。「ハンバーガーの原材料のうち日本産はレタスだけ」という事実は、繰り返し議論される日本の食の危機という事態を再確認させるものです。

次に、荒尾貴正さんによる職業選択や会社の仕組みがつづき、後半は、人生の意味についての根源的な問いが投げかけられます。西丸與一さんの、時代の変化と若者の自殺に関する論考、そして宮台真司さんの「意味なき世界を生きる」という挑戦的とも言える問題提起は、若者だけでなく、われわれ大人にとってもぎくりとさせられる視点を示しています。

著者の藤原和博さんは、リクルートで個人情報誌「じゃマール」を立ち上げたことで知られ、その後も企業のリソースを活用しつつも従属するのではない形で、ネットワーク時代に自分自身のビジネスを立ち上げる実践で注目されています。

中に横浜市山手学院の土井誉仁さんの「制服に征服されたされた高校生」というコラムがあり、「制服をきちんと着る」ということが個性の発揮になるという、僕ら世代から見ると衝撃的とも言える現象が報告されています。僕が高校生だったころは「制服廃止運動」が実を結ぶ時代でした。

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