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致死性ソフトウェア
グレアム・ワトキンス(大久保寛訳)致死性ソフトウェア (新潮文庫,1997年)
ISBN4-10-208912-8/4-10-208911-X

常駐タイプの最適化ツールが突然変異を起こして、自己増殖し、ついには人類に危害を加えるに至るというSFです。

荒唐無稽のようですが、中で述べられている技術的な仕組みは、全く非現実的というわけでもありません。例えば、マイクを装備していないパソコンの前の人間の声を、この異常ソフトウェアがどのようにして検知するのかという点の発想などは、つい引き込まれてしまいました。

趣向と道具立ては素晴らしいのですが、終局に向かって、テレビゲームのようになってしまうところは残念ながらちょっと無理があります。映像化を意識し過ぎたのでしょうか。

ただ、多少パソコンの技術的な機構を知っている人間にとっては、実際には無理なことだと分かっていながら、多分にリアリティが感じられる小説です。config.sysやemmなどというものが懐かしい方には、特にお勧めです。

〔広 告〕
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