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光射す海
鈴木光司光射す海 (新潮文庫,1996年) [新潮社,1993年]
ISBN4-10-143812-9/4-10-378603-5

僕の読書日記にこの作家の「リング」ほかを掲載しているのを見たある方から、「著者を知るきっかけは『リング』だが、『光射す海』が感動的」というメールをもらっていました。そのときは、書店でみつけることができず、何となく心に引っかかっていたのですが、先日、仕事で神戸に行ったとき、地下街で入った書店の文庫売り場で、偶然これをみつけました。

「リング」が、映画やTVで話題になったとき、著者は、「自分はホラー作家ともSF作家とも思っていない」と述べていました。確かにこの作品は、全くそうした要素のない現実的な小説です。

記憶喪失の女性を軸にして、元恋人、精神科医、自殺未遂患者のそれぞれの人生が折り重なり、各自が変化を遂げていきます。しかしそのプロセスにおいて、実際には、この女性と他の3人との間には、ほとんど心の交流がないというところがなかなか面白い設定です。

この作品では、ハッピーエンドの結末を暗示する内容になっていますが、きわめて偶然の結果の幸運によってもたらされた結末です。もしこの偶然がなかったなら…と想像すると、悲痛なやりきれない思いが残っただろうと思います。そういうところまで想像力をたたいてくれる力が、この作品にはあるようです。

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