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京極夏彦 『鉄鼠の檻 』 (講談社文庫,2001年) [講談社ノベルス,1996年]
ISBN4-06-273247-5京極夏彦の作品を読むのは『姑獲鳥(うぶめ)の夏』『魍魎(もうりょう)の匣(はこ)』に続いて3作目です。1300ページ以上あって文庫なのに1300円。すぐには読めないような題名がついているのも特徴ですね。
それにしてもうんざりするほど厚い。それなら読まなきゃいいんですが、物語の本筋よりも雑学を楽しめて、クセになるのがこの人の本だと思います。そして雑学と思っていたのが、意外に本質に関わっていることが分かるというところに読書の醍醐味があります。
本書は、ある「禅寺」を舞台にした連続殺人事件をテーマにしています。関係あったり関係なかったりするいくつかの謎が絡み合って、全体を構成していますが、やはり「禅」についての薀蓄が核をなしています。京極堂は持ち前の博学を発揮して、禅僧たちの迷いまで喝破してしまいますが、難解(と思われる)禅宗の全貌について、読者を分かったような気にさせるところが憎いです。
正木晃氏の解説に、オウム事件に対する作者なりの解答なのだとという見方が書かれていて、なるほどと思いました。
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